嫁さんがディカプリオに言う、「アンタ、自分が企業や警察から逃げて世界を転々としてるディカプリオだって信じてるの？」はキツいよな。ディカプリオさんとは似ても似つかぬわたくしですが、一応はトラウマ抱えて深刻なディカプリオ気分で映画観てたのに。あの台詞がオレにはいちばんキツいキックだったな。

細部の趣向には唸らされたものの、観客を煙に巻いて逃げきりを決めた『うる星やつら２　ビューティフル・ドリーマー』や中学生の怒りで現実をひっくり返した『マトリックス』の如き、ドキドキするような「ヤバイ映画」にはなり損ねたと思う。どこまでも論理的で常に破綻せず、よくできた冷静な映画なんだ。作った人が頭良すぎるんじゃないかな。