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[コメント] 6才のボクが、大人になるまで。(2014/米)

奇跡は誰にでも一度おきる だが おきたことには誰も気がつかない (漫画「わたしは真悟」より引用)
ペンクロフ

後にDVアル中男であることが判明する継父の面白半分に丸坊主にされ、落ち込む少年。しかし小学校で女の子から「その頭サイコー」という通信をもらってニッコリするのだった。

この小話を観て突然記憶の蓋が開いた。数十年間忘れていた体験を思い出したのだ。小学生だったオレはある日、動機は思い出せないがなんとなく自発的に床屋で丸坊主にしてもらった。翌日小学校に行くと、クラスの女子たちがオレの周りに群がって次々と、そして延々とオレの頭を撫でていった。この時オレは「なんや鬱陶しいのう」と心から思ったものだ。四十郎の今にして思う、あれは奇跡だったのだ。当時のオレは、まったく気づかなかった。

父親が娘にコンドームを使えよと言う場面、娘は恥ずかしいようで照れるようで嫌がるようで、笑いをこらえきれない絶妙のリアクションをしてみせる。もしかしたら実際はあれがイーサン・ホークのアドリブで、本番中にこのオッサンなにいってんのウケルー、みたいなことなのかもしれない。でも、まるで再現不可能な奇跡の一瞬のようにオレには見えた。ありふれた、目覚ましくない平凡な人生の中に実は奇跡が無数にあって、しかし誰も気がつかない。

ズバリ言ってこの映画は長いうえに大して面白くないんだけど(なにしろありふれてて目覚ましくないからだ)、なにか尊い、ちょっと得難いようなものを内包している、ような気がする。気がするだけかもしれないんだけど。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] 緑雨[*] 3819695[*]

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