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[コメント] PLAN 75(2022/日=仏=フィリピン=カタール)

着想はいいのだが、あんまり踏み込んでない。ダサくなることを恐れて映画の声が小さい。もう少し勇気を見せてほしい。
ペンクロフ

この題材はどうしても『ソイレント・グリーン』だの筒井康隆の短編「定年食」だのを連想してしまうので、この映画はちょっと弱いんだよなあ。

たとえばPLAN75を宣伝する政府広報が、倍賞千恵子の背後で流れる。ダメだダメだ、こんなのは画面いっぱいにババーンと見せなきゃダメだ。バーホーベン先生の『ロボコップ』とか『スターシップ・トゥルーパーズ』を観てみろよ。欺瞞に満ちた政府広報を、何度も何度も見せるんだ。パチンコみたいなCGも作るんだ。金がなければいらすとやでもいい。何なら1回くらい「そんな時に、この青汁に出会ったんです」とか敢えてスカしたっていい。

映画の終盤、ある人物が車を走らせていると、スピード違反でパトカーに止められる。この場面すげえよ、ピーポーピーポーの音だけで、パトカーなんか画面に登場しない。やってきて声をかける警官も、ボケてて制服なんか見えやしない。つまりパトカーの劇用車も用意できません、警察の制服も用意できません。だったらこんな場面を脚本に書くなよと。できる範囲で素人の自主映画やってろよと言いたくなるのであります。監督の意図はなんぼか想像つくよ、近未来SFじゃないんだ、告発してるのは現代なんだ、だから現代の老人、現代のお役所、現代の社会を描くんだと。でも現代もできてねえんだ、パトカーの1台も出せねえんだから。

ちなみにこんな貧乏映画によく倍賞千恵子が出てくれたなと思われるかもしれないが、大御所って意外と暇なんですよ。だから脚本さえ気に入れば、タダみたいなギャラで出てくれる(こともある)。作り手が若い人なら尚更だ。高いギャラは山田洋次から貰えばいいからな。

(評価:★3)

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