シネスケに書くようになって初期、たぶん20代で書いたコメントなので今読むと文体が軽薄で恥ずかしいが（今もか）、我ながらそう大きくは外してないと思う。それは今回の再編集版で証明された感がある。ハッキリ言ってオレは当時『ロッキー4』を観てすでに今作『ロッキーVSドラゴ』に近い内容を勝手に読みとり受けとっていた。それは信じられるもの（ロシアに行っても鏡に写真を貼るロッキー仕草とか）を真剣に観て、どうでもいいもの（冒頭の国旗グローブ激突爆発とか）はサラッと忘れてしまうことによって可能となる。曲解と紙一重なので、別に褒められたものではないですよ。国旗グローブ激突やポーリーのロボットだけを執拗に覚えていて、ツッコミ続けてる人だっている。それもひとつの楽しみ方だろう。

ゆえに自分にとっては今回、世評ほど大きく印象が変わったわけではない。嬉しかったのは冒頭に『ロッキー3』の振り返りを丁寧にやってくれた点と、MTVパート（夜の車、ロシア到着、トレーニング・モンタージュなど）をちゃんと残してくれた点だ。当時の流行りだったこのMTVパートをスタローンが今回残してくれたのは、成熟した視点で物語の語り直しをしつつも当時の未熟さを否定も隠蔽もしないバランス感覚ゆえと思う。凡百の監督なら最初にいじるところです。