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[コメント] ロッキー(1976/米)

人間には奇跡を起こす力があるということを、ロッキー・バルボアとシルヴェスター・スタローンが身をもって証明した。
ペンクロフ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「15ラウンド闘い抜いて、それでもまだリングに立っていられたら…」 自分がただのチンピラじゃないことを証明できる。3流ボクサー、ロッキー・バルボアは勝ちたかったのではない。彼が望んだのは王者アポロとフルラウンド闘い、それでもリングに立っていられることだけだった。『ロッキー』がいかに凄い映画だったか、この一点だけでも充分わかる。こんな映画が、それまであっただろうか?

しょぼい街の、しょぼい人間たち。彼らは一切美化されずに描かれているが、それでも彼らを愛さずにはいられない。カッコつけてたって、人間はみんなしょぼいのだ。オレたちは彼らの中に、自分の姿を見いだしている。ミッキーがロッキーに拒絶され、部屋から出て行く。ロッキーがそのあとを追う。あの感動的なロングショットに台詞がまったくないのは、彼らがオレたち自身だからだ。オレたちには全部わかってるんだ。だから台詞はいらない。

無人のスケート場でのぎこちないデートのあと、ロッキーの部屋に入る。ロッキーは帰ろうとするエイドリアンに、眼鏡をとってくれと頼む。眼鏡をとると、今度は帽子をとってくれと頼む。度を越えて内気なエイドリアン、彼女の美に気づき彼女を愛したのは、エイドリアンの人生の中でもおそらくロッキーだけだっただろう。人生は、自分に気づき愛してくれた1人の不器用なチンピラの存在だけで劇的に変わりうる。オレは、あれほど胸に迫るラブシーンを見たことがない。ブタ小屋のようなあの部屋で、さして美人でもない不幸顔のタリア・シャイアと負け犬フェイスで不恰好なシルヴェスター・スタローンが最高のラブシーンを演じたのだ。

貧乏映画らしく、試合のシーンは最小限だった。でも、それでよかった。『ロッキー』はアクション映画ではないし、狭義のボクシング映画でもないのだから。

スタローンはこの映画のあとも、自身がすぐれた脚本家であることをたびたび示した。しかし『ロッキー』のホンだけはズバ抜けている。彼の才能をもってしても、これは生涯に1度しか書けないホンだったのだ。そしておそろしいほど純粋なこの映画こそ、彼が起こした奇跡そのものだったのだ。

(評価:★5)

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