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[コメント] 勝手にしやがれ(1959/仏)

机上の映画
ペンクロフ

この映画が壊したものがあるとすれば「形式」だと思いますが、壊すだけなら結構簡単な話で、ちょいと編集を間違えれば映画なんてたやすく壊れるわけです。トロマの毒毒映画を1本見ればわかります。で、観客としては「形式を壊してまで何を見せてくれるのか?」に俄然期待するんだけど、この映画は(少なくともオレには)何も見せてくれなかった。手ぶれカメラのロケ撮影にも関わらず、これはものすごく「机上の映画」「机上で考えた映画」に思える。「瑞々しい」とよく評される映画だが、そうも思わなかった。むしろ死んでいると思った。活劇という言葉の定義はいろいろあるでだろうけど、オレはこれを活劇とは呼びたくはない。だって誰も汗かいてないじゃないか?

役者の魅力もまったく感じなかった。ジャン・ポール・ベルモンドがもったいない! もっと走ってすべって転んで高いところから飛び降りろよ、と思う。この映画がやっていることは言葉遊びであって、それはそれでかまわないんだけど、ただそれをベルモンドにやらせるなよと。彼はオレにとって数少ない愛すべき「マックイーン的」フランス人俳優なのです。

この映画はゴダールの処女作だそうですが、処女作に見るべきところがまったくない監督の作品を追っかける気にはなれない。処女作には作り手の資質が、少なくともその芽が、可能性が必ず見えるという「処女作幻想」をオレは持っています。ピーター・ジャクソンが指輪物語を撮るなんて想像もしていなかったけど、それでもやはり処女作『バッド・テイスト』は面白かったし、追っかける気になりました。キャメロンの『殺人魚フライングキラー』でさえ、『勝手にしやがれ』よりは相当面白いとオレは本気で思っています。

(評価:★1)

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