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[コメント] 妖星ゴラス(1962/日)

ひとりひとりは小さな存在でも、人間には奇跡を起こす力と無限の可能性があるんだと信じさせてくれる映画、オレに勇気を与えてくれる映画。
ペンクロフ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







妖星ゴラス』をはじめて観たのは、中学生の頃だっただろうか。この映画からは「きわめて困難な事態に直面したとき、八方ふさがりで打つ手が1つしかないのならば、どんなにバカげて不可能に思えても、ただそれに全力を尽くせ」ということを勝手に学んだ。これは生きるうえの教訓として、随分オレの力になってくれた。

オレは、今でもたまに金井さん(久保明)のことを考えることがある。陽気なお調子者として登場した彼が、実は様々な思いを胸に秘めた複雑な、そして決して強くない人間であることがわかるアパートの場面が、たまらなく好きだ。

この映画は、「ひとりひとりは決して強くない人間たち」が力を合わせ地球を動かすからこそ凄い映画なのである。池部良だって弱気になって白川由美に励まされたりなんかしている。田崎潤はこの映画の精神的支柱とでも言うべき男気を見せたが、それでも「みんな、よく、がんばってくれた」の「よく」の部分の声が裏返っていた。彼だって、死ぬのが怖かったのだ。彼だって、決して強い人間ではなかったのだ。それでも彼は強くあろうとしたんだということを知ったとき、人は感動するのではないだろうか。

強くない人間が、それでも強くあろうとする姿は美しい。それはみっともない悪あがきかもしれないし、間違っても「クール」なんて代物ではないだろう。しかしこの映画に登場した人々、地球を救うヒーローと呼ぶにはあまりにも凡庸で、普通で、しかし小さな勇気の火を胸に灯した名もなき人々、今自分ができることにただ力を尽くす人々、オレはそういう人間たちへの賛歌をうたった『妖星ゴラス』が好きだ。そして、今でもこの映画はオレに勇気を与え続けてくれている。

(評価:★5)

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