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[コメント] ブラジルから来た少年(1978/英=米)

抑制の利いた、ストロングスタイルの渋いSF映画。フランクリン・J・シャフナーは信用できる男。
ペンクロフ

オレは『アルファヴィル』とか大嫌いでしてね。そこらへんでロケしたくせに別の惑星の話だと言い張る、みたいなウンコスノッブのトンチ1回ひねり、どーですボクちゃん気がきいてるでしょゲームなんかゴミだクソだ、ゴダールてめえとっとと死ねコラ、墓にクソぶっかけてやる、てめえら空井戸の中のドブネズミなんだと半ば本気で思っております。

言うまでもなく、ゴダールよりジェームズ・キャメロンの方が偉いのだ。キャメロンはこの世にありもしないものを創造し、映像ではっきり見せるからだ。これはゴダールのクローンが1000人いたって出来ないことだ。たかだか数十年のスパンで考えてるからお前らゴダールなんて流行りもんを持て囃しちまうんだ、30世紀に名前が残ってるのはキャメロンであり、黒澤明であり、宮崎駿である。それが歴史的現実である。と、オレはそう思っている。異論は認める。

そんな自分にとってこの『ブラジルから来た少年』は実に好ましい。ゴダール的な虚仮おどし、ハッタリ、手抜き、不誠実がここには一切ない。現実の制約の中で、クソマジメにSFに取り組んでいる。だからフランクリン・J・シャフナーは信用できる男なのである。派手な特撮はない。地味な特撮さえない。グレゴリー・ペックローレンス・オリヴィエも極めてマジメだ。このマジメさこそが、千金に値する。かつてロバート・ワイズの『アンドロメダ…』にも感じた、美しいマジメさだ。こういうマジメさを褒めなくてはいかん、ゴダールなんか褒めたらたちまち人間が腐ってしまう。なにしろオレはそう思いこんでいる。異論は認める。

(評価:★4)

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