[コメント] サスペリア(1977/伊)
映画を見終った人むけのレビューです。
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恐怖映画だがホラーではなく、残酷だがスプラッタではない。これこそ「ショック映画」と呼ぶに相応しい(そういうジャンルが昔あったのです)傑作だ。ショック映画の特徴は、意味がなくてもとにかく驚かすこと。惨殺死体などのイヤなものを長々と尺をとって見せること。意味の判らぬ説明不足、不可解さ、意味の無ささえも利用して映画を構成すること。中でもアルジェント先生はそんなんやらせたら本物の天才。この映画もホント凄い。
いきなり窓の外からコウモリが襲ってきて少女の首にかじりつくという、それだけでもこれ作った人アタマ大丈夫かなと思うような場面がある。しかし天才アルジェント先生に恐れるものなど何もない。コウモリは地べたに落ちて、バタバタしながら少女へとにじり寄っていく。カメラが地べたのコウモリなめでジワジワ進むカット。あっ、この映画狂ってるなーなんて思ってると、少女は近寄るコウモリに上から布をかぶせ、イスをガンガン叩きつけてコウモリを殺すのだ。このシーンいる? シーン変わって、少女はおっさんみたいにタバコをプカー。こんな映画作るのはどう考えても天才だろ。皆さん指摘する赤の照明ひとつとっても極めてアーティスティックな作品なんだが、信じられないほどいいかげんでぞんざいな、ウソだろ? 夢か? と思ってしまうような瞬間もメチャクチャ多いのだ。刺殺シーンでなぜかむき出しの心臓にナイフが刺さって、ナイフ抜けたら切り口から血がダラー、とか凄すぎる。小学生でも思いつかないよ。主人公の少女はアメリカからドイツにバレエ留学したのに、バレエ学校で踊る場面なんか全然ない。初日に体調不良でフラついて、倒れるだけ。完全に天才です。
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