つれづれに感想を。

無名の最初の供述（「赤」の物語）は、結局のトコロ嘘でした。ひょっとして、あの陳腐なストーリー展開は嘘の話とわかるように仕立てたのかしら、なんて思ってしまった。はっきりいって、こんなストーリー展開ならば 「しょうもない！」と怒りそうになった。しかし、面白いのはここから。

秦王の想像（「青」の物語）、無名が語る真実（「白」の物語）と進むにつれてストーリーはだんだんと深さを増していった。 （深さを増すに従って、チャン・ツィイーの影がどんどん薄くなっていったのが残念でならないが。）

残剣の思い、メッセージはまさに今の政治にも通じることなのかな、と思う。 恨みや復讐で、暗殺を企てるものは多くいた、しかし、多くの民は長く続く戦乱のなか疲弊している、平和な世を実現させるには天下を統一し、安心して暮らせるようにすることではないか、そしてそれができるのは秦王しかいない、という残剣のメッセージ。 政治家の私利私欲で首相をひきずりおろすことを企てるより、国民が暮らしやすい世を作ることを考えて欲しいな、なんて皮肉まで思いついてしまった。

秦王が、無名を殺すという苦渋の決断を下したところ、残剣が飛雪に 「お前の故郷に一緒に帰りたかった」と言い残して息を引き取るシーン、 泣けました。3種類の別れと最期を観た中、当然だがラストが一番泣ける。

ラストのテーマソング、フェイ・ウォンだったのですね。素敵な曲だったので、またサントラを探そう♪

そうそう！忘れちゃいけないのが、映像の美しさについて。 単色（といっても濃淡があるので単色のグラデーション、というところか）、2色で統一された色の映像がここまで美しく撮れるなんて！と思い 感動しました。