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[コメント] 地獄の黙示録(1979/米)

今、ハリウッドで積極的に製作される戦争映画の舞台は第二次世界大戦ばかり。
これで最後

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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だって、第二次大戦以後に起こした戦争は、どれもこれも自分勝手な正義の押し付けばかりだもんね。ドイツと日本を悪者にして、「過去の栄光」に浸るのが、アメリカ人の精神衛生上、もっとも好ましいんでしょう。ま、人間なんてそんなもん。日本人だって、太平洋戦争より、日清、日露戦争(いやいやもっと遡って戦国時代か)のほうが気分が楽だからね。ところで、七十年代に、REDUX編集が公開されていたらどうなっただろうか?ま、別に大した影響は無かっただろうな。何らかの影響があったとしたら、アメリカでの興行が振るわなかっただろうってぐらい?そうなったら、リスク負って製作したコッポラも困るわな。いや、もともと興行的には失敗したんだっけ?

ちなみに前作(?)の評価は5だった。中学時代に見て、「夜明けのナパーム」「ワルキューレ」「マルボロ」という三点セットに憧れたもんだ。で、大学時代にベトナム、カンボジアを旅行しました。メコン川やトンレサップ湖をスピードボートに乗ってブッ飛ばした。ドイツから来たバックパッカーが、「ワルキューレ」をウォークマンで聴かせてくれて気分はキルゴア中佐。一発3ドルの売春宿に行ったり、バカ安のマリファナ吸ったりで、身も心も「地獄の黙示録」に浸りきった。傲慢に他の民族を見下して「狂気」に酔いしれるのは実に気分がいいと実感したもんだ。

ところが「完全版」では、浅薄な「反米映画」に成り下がっちまった。カーツって、自分の処刑行為が軍首脳から犯罪扱いされて逃亡しただけじゃん。その程度の人間を、ベトナム人やカンボジア人が崇めるかよ。金でも配らなきゃ見向きもされねぇよ。そもそも、サイレンだけで怖がって逃げるか?鳩じゃあるまいし。おまけに、小乗仏教やヒンズー教の歴史が深い国で、未開人が狩りの時に躍るような儀式をやるわけねぇだろーが。西洋人以外は、全部「野蛮人」ってくくりかよ?アジア人を描写するのに、リアリズムや説得力は必要ないってか?ベトナム人は「得たいの知れない強者」って解釈すれば、リスペクトしたことになると思ってるのか?

なんか「反米」であれば、時流に乗ってた(予測した?)ってなるのかね?カンボジアもベトナムも、アメリカみたいなポッと出の国より何千年も長い歴史を背負ってる国なんだぜ?しかもフランスの入植野郎の言い分も振るってる。「ここが我々の土地だ」と言いたいなら、帰化しろよ。ベトナム人になれって。南米やアメリカに移住した日本人、中国人、朝鮮人みてぇに。で、オマエらも銃を持って青い目のベトコンになって闘えや。プランテーションで現地人をアゴで使って自警団気取ったって、イザとなったら帰国できるんだろ。その程度の根性で「我々の土地」たぁ、笑わせてくれる。そんな絵空言を吹かれて深刻ぶってるマーチン・シーンは、さらに不甲斐ねぇ。なんかオッパイがたくさん出てきたけど、別に、そんなシーンいらねぇんじゃねぇの?

無意味に大量殺戮して、マリファナやって、女犯して、聖書読んでたら、最終的に気が狂いましたって映画じゃなかったのか?正直、ガッカリした。

(評価:★1)

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