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[コメント] いま、会いにゆきます(2004/日)

うーん……3点。(2004/11)
秦野さくら

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







観ていて興味深く感じたのは、この手の映画にありがちな「別れ」のシーンを最後に持ってこなかった点。この、いわば「王道の構成」を破った展開はとても面白いと思った。だが、そのあとの「実は未来にトリップしていました」というネタには微妙にノレないものがあった。

もし自分の死期を悟りつつも彼に会いにいったのならば、もう少しその後の彼と子どもとの関係性は変わってくるように思えるのだ。冒頭から、彼は「彼女を幸せにしてやれなかった」という悔やむ気持ちを持って過ごしているが、もし彼女が自分の死期を知っていたのなら、毎日でも「幸せだよ」と伝えて、彼にそういった後悔の念を残すことを避けられたのではあるまいか。また、蘇りの時期に慌てて家事を子どもに教えている場面があったが、死期を知っていたのなら、生まれたときからもっと自分が早くに居なくなるのを想定した育て方ができたのではあるまいか。この映画がそのような描き方になっていないのは、もちろん、「未来に蘇る」というネタを視聴者に分からせないためであり、そういう作り手のご都合主義のあざとさがなんとなく見え隠れしてしまったためか、どうも観た後の気持ちがざわついてしまった。

また、この映画の肝は、「彼女が自分の死を知りつつも、運命であるアノ人と子どもを選択する」という、いわば死をかけた愛の選択であると思うが、確かにそれを選択した竹内結子演じる彼女はとても魅力的だったのだが、果たして彼女は素晴らしい選択をしたかというとそれもどうも疑問で、例えば私なら、最愛の人との永遠の別れ(死別)をたとえ1度であっても味わわなければならないのは恐ろしく辛い体験だと思うし、その経験を、最愛の人たちに2度も味わわせることになってしまうという選択は、果たして心ある選択なのだろうか……。ちょっとうがった見方をしてしまえば、ずいぶん自分勝手な選択ではないか……? とも……

図書カードで死んでしまった恋人の過去の気持ちを知った、くらいの<某映画>のような語り過ぎない寸止めがちょうどよかった……。

(評価:★3)

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