……と、いまさら後悔しても始まらないわけで。だいたい、公開時、「子ども」と呼ぶには微妙なお年頃だし。

この映画、まるで私の子どもの頃の頭ンなかを観ているようだった。小学生の頃はよくやってた、宝探しとか、秘密基地づくりとか。授業中にこっそり暗号だらけの宝の地図なんて書いたりして、学校の帰り道に、ちょっと寄り道して探検しにいったり。隣町までいくのもドキドキで。そこには、いつも、物凄い宝物が隠されていたり、悪者が潜んでいたり、動物と話ができたり、トンネルの向こうは異次元とつながっていたりした。ちょうどこの映画みたいに、自転車でちょっと走ったところに海賊船が潜んでいたり、いつもの公園の下がトラップだらけのトンネルだったり、空想と現実の境界線が無かった。だから、半径3キロ以内の場所でも十分冒険できたんだった。

そんな私も、「この映画、あえて身近なところで冒険させるところなんか、本当に上手いつくりだよなあ。（不思議の国のアリスのように、入り口身近で異次元へトリップ系は多いけど、冒険の過程も身近な場所とこんなに緊密にリンクさせて描くロードムービー的な物語ってあんまり知らない。だからこそ、余計にドキドキワクワクする）」などと冷静に感心してしまう大人になってしまった。あぁ、なんか、とっても悔しい……。

やっぱり子どもの特権って、あるよなあ（しみじみ）。こういう空想に完全に浸れることはもうできないけれど、せめて、こういう空想を子どもと一緒に語れるオトナにはなりたいなあ、と、思う。

もう一度、大海に向かう海賊船、私も見られるといいなぁ……。（劇中のオトナたち、うらやましすぎ）