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[コメント] 白痴(1946/仏)

理想は時として凶器となるのかもしれないが、それでも人を信じていたい、願わくば。(2003/02)
秦野さくら

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







*原作未読

運命に翻弄されるナターシャも悲劇だが、自分の価値観で精一杯求愛しているにもかかわらず相手に通じないロゴージンもまた悲劇だ。理想論を貫いてナターシャを死に追い詰めてしまったムイシュキンはかなり悲惨。

聖書に挟まったナイフのシーンを見て、ドキリとさせられた。確かに、「相手に頬を打たれたら、自分のもう片方の頬も出せ」などと真顔(?)で言う極端な自己犠牲の理想論は、時として自分に向けられた刃になるのかもしれない。それをかざして罵られるならともかく、ただ悲しげな顔をして「君はかわいそうな人だね」と同情されたら、それこそ死にたくもなるかもしれない。

しかし、確かに理想は破壊と表裏一体のものかもしれないが、それが叶えられなくとも誰かに声高に言ってもらえることが救いとなるのも確か。でもだからといってキリストと結婚したら発狂するな、私も…。

*匂いたつようなエドウィージュ・フイエールの美しさ

(評価:★4)

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