例えば、この映画より制作が古い『ゴジラ』（の存在）や、はたまた『日本沈没』のような「壮大な嘘」にあれ程リアリティを感じたのは、もっともらしい科学的根拠や時事を緻密な計算の上でちりばめ、「もしかしたら本当にそういうことがあるかもしれない」と巧妙に観客を騙してくれたからだ。この映画には、素人目ながら芸の細かいミニチュアの素晴らしさや特撮の巧みさは感じたものの、脚本については、（例えば『ゴジラ』ほどの）「大いに騙してやろう」というような気概を残念ながら感じることはできなかった。その極めつけが何の前触れも無しに突如現れる巨大トド。実際、ゴラスのような隕石衝突は、現実に起こりえることである。そのような「もしかしたら起こるかもしれない」嘘を扱うのであればなおさら、もう少し理詰めてもっともらしいシーンや説明を重ねて欲しかった。