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[コメント] 遊星よりの物体X(1951/米)

ジョン・カーペンター版のテイストを期待してしまうと、実に物足りない。ヒイキ目だけど、断然にあっち。しかし、『遊星からの物体X』はこの流れからはやや異色で、どちらかと言うと、『エイリアン』の方に正統後継された印象。
HW

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







未知の生き物が何処かに潜んでいると言うのに、皮肉の利いたジョークは欠かさず、コーヒー片手に談笑してたりするのだから、緊張感と呼べるものは乏しい限り。辛い状況下でも、解決に向けて仲間と明るく団結し合うアメリカ人魂か。しかし、味方の人数が多過ぎるものだから、「さぁ、奴が来るぞ!」という時に、狭い場所でガヤガヤ煩いのはマヌケている。ヒロインも取って付けたようで、決戦前に、「しっかりね」とか何とか言いながら去って行く姿は夫にゴキブリ退治を頼んだ奥さんみたいでこちらもかなりマヌケだ。特撮以上にそういった時代性が否めない。まぁ、過剰演出で緊張感を無理矢理高める事しか能が無いような近年のホラー映画傾向も考えものだが・・・。

とは言え、「SFホラーの原点的作品」と呼ばれるだけあって、外部からの孤立という状況や知恵を使った攻撃で無いと倒せない怪物というお決まりパターンはお手本的な出来。探知機がピコーンピコーンとまだ見えぬ怪物の接近を知らせるのはまさに『エイリアン2』。「人命より研究だ!」というSFホラーにおける定番な科学者役もこの映画からでしょうか。

怖かったと言える所はほぼ無いのだが、唯一、温室で2人が首を切られ、逆さ釣りにされて、哺乳ビン代わりにされているという会話だけで語られる部分には想像を掻き立てられた。科学者の実験栽培とダブらせるのが上手い。

ラストで急にプロパガンダ映画みたいになるのが別の意味で怖かったかも。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ぽんしゅう[*] 死ぬまでシネマ[*]

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