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[コメント] ファイト・クラブ(1999/米)

全体としての「騙された」感を重視して細かな辻褄合わせは明らかに放棄している点といい、ラストの×××(ネタバレ?)といい、やはりこれは悪ふざけのジョーク映画。だが、悪ふざけだとしても・・・いや、悪ふざけだからこそ、「破壊」が物足りない。
HW

**ネタバレ注意**
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「貧富の差を無くす第一歩としてクレジット・カード会社を潰すぞぉ〜」・・・ってそんな簡単な問題かよ!?という野暮なツッコミはともかく、抑圧されていた暴力を解放し始めた男達が真夜中にこそこそとカード会社のビルをいくつか倒壊させるぐらいで満足するとは思えない。もちろんあれでファイト・クラブが終わるなんて誰も言っていないのだが、タイラーが‘死んだ’以上一体今後はどうなるのか?タイラーは死んでも、彼が目覚めさせた男達の暴力衝動は生きている。あの男達があれだけで満足出来るのか?・・・というか俺があれだけでは満足出来ない。(笑

あと、ヒロインがキューブリックみたいなラストシーン(そうでもないかな?)以外に必要性があまり感じられない。一応二重人格への複線としても存在しているのだけど、結局、ラストに男女二人手をつないで立つ姿が欲しかっただけという印象・・・。もう少し、何らかの形で出番多くしても良かったんじゃないかな?

暴力・破壊がメインで、あまり取り上げられていない気もするが、二重人格の映像的な扱いも面白い。かのアレハンドロ・アメナーバルが「近年だと、デビッド・フィンチャー監督の作品スタイルに影響を受けている」とか語っていたが(奴も実は顔に似合わず相当のヒネクレ屋?)、彼の『オープン・ユア・アイズ』とか、他なら『マトリックス』とかああいう一連の作品ともそれなりの関連が感じられる。

不満を多く挙げてしまったが、やはり総合的には面白かった。現代社会で抱くやり場の無い不満というテーマは多かれ少なかれ誰にでもあるものだろうし、映像・音響の楽しみも豊富だし、ブラッド・ピットエドワード・ノートンの演技も素晴らしい。何だかんだ言っても、見る価値がある作品だろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] ゑぎ[*] ジャイアント白田[*]

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