[コメント] 人生は、時々晴れ(2002/英=仏)
今更ながら知ったが、この監督、演出が抜群に巧いと思う。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ケン・ローチ以上にどっぷり不幸に浸かった人びとの群像を巧みに描写していくマイク・リー。『秘密と嘘』で写真家を演じたティモシー・スポールは本作ではタクシードライバーを演じている。ともに市井の人びとを相手にし、彼らの泣き笑いのごく一部分を垣間見ることのできる仕事である。そこで見られる顔、顔、顔。それらに寄り添うような視線は、冷徹なようでいて実はとても優しい。
中年男女の苦しみや喜びを描くのもうまいが、意外に若者の演出に関しても魅せてくれる。ケン・ローチのそれがどこか古臭さをおぼえさせるのに対し、あの挙動不審な男とビッチ風の女の、ついたり離れたりの演出のつけ方は、普遍的な若者のあり方を描いたように思わせてくれた。
多少冗長な面もあったが、クライマックスとなった病院から帰った後の父と母の衝突場面でも魅せてくれた。日常がほんの少しずれることで、心の底に閉まっていた本音がぽつりと漏れ、お互いが気持ちをぶつけ合い、やがて晴れる。そこにリーの楽天的な側面が反映されているような気もするが、そうでもしないと重すぎて見ていられないというのもあるのだろう。手堅い作品である。
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