[コメント] 絞死刑(1968/日)
国旗が国家に変貌するとき(レビューはラストに言及)
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭のスピーディーかつ緊張感のある死刑場の紹介から、死刑執行を挟んで、死刑囚蘇生の喜劇に移る展開が見事だった。
それだけに、その後の三谷幸喜以上に幅の狭い一方的な展開の群像劇がどうしても長ったらしく、だらけて映ってしまう。「在日」「衝動殺人」「戦争」などのキーワードを散りばめても、(ある程度そういう狙いだとしても)記号化されたそれらがどうしても作品中の血肉とはなりえず、言葉だけ宙に浮いてしまっているような感じがした。
しかし、危険思想を持つ人間を生かしてはいけないからこそ国家はそうした人間を殺す、と検事が断じる場面で弛緩した空気が一変する。その場面をもって、記号化されていた言葉たちが牙を剥き出しにし、日本国旗が国家に変貌する。そして少年Rは実体がなかったはずの国家に絞め殺される。冒頭の緊張感が最後になって復活する展開には迫力があった。
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