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[コメント] ローズ・イン・タイドランド(2005/カナダ=英)

映画館が明るくなって、夢から覚めたような気持ちになった。監督の悪夢に巻き込まれた。
狸の尻尾

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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一人で行ってよかった。 この人の映画、うっかり友達を誘えないようなとこがあると思う。 上映後、後ろの席の人が「わけわからんかった…」と連れに話してるのが 聞こえたけど、ほんとそう。 きちんと明確なストーリーや落ちのある映画じゃないので、 わけわかんないって言いたい気持ちもわかるし、好き嫌い別れると思う。 (ダメな人はダメだろうなぁ…気持ち悪いって言われそう)って 見てる途中、自分も思ったし。

だけど。気持ち悪いんだけど、でも。ところどころで、ふっと子供だった頃の自分がよみがえって、あぁわかるかも…と思えたりもするんだよね。けど、わかる様な気持ちがする自分に気持ち悪くもなりそうで。否定したい自分と肯定できるかもしれない自分。ぎりぎりの感じ。その、なまぬるい気持ち悪い感触。

でも、やっぱり自分はこの人の映画は好きだと思う。 普段はどっちかというとストーリー構成がしっかりしてるかっていうのは 気になる方だと思うし、物語が破綻してる様な映画は好きじゃない。 だけど、この映画はわけわかんない映画かも知れないけど、 作り方が悪くて物語が破綻してるわけでは、決してない。 むしろ、この明確さを欠いたわけわかんなさが映画の内容と相まって 悪夢を見た様な感覚を残してくれる。 そう、悪夢。 ギリアム監督の悪い夢に巻き込まれた。 映画を見終わり、エンドロールが流れ場内が明るくなって。 本当に夢から覚めたような気持ちになった。

話の内容はさておき、映像と主役の子の演技だけでも見る価値は あるんじゃないかと思う。 家が海の底に沈んで行くイメージのシーンはすごく好きだったし、 主役の子はとにかくすごい。 ほとんどこの子の一人芝居なんだけど、すごい子だと思った。 この子がいなかったらこの映画はなりたたなかっただろうって思える。 とんでもない役なんだけど、それをこんなに自然にできるなんて。 この子に映画が喰われちゃってる、そんな感じだった。 この子じゃなかったら、ただ気持ち悪さ、それが際立つ映画に なってたかもしれない。 それをここまでの映画に昇華してるんだから、すごいもんだと思う。

(評価:★4)

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