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[コメント] リトル・ミス・サンシャイン(2006/米)

"負け犬"、それは必ずしも不幸せなものじゃない。
狸の尻尾

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







幸福とは主観的なものだ。たとえ世間的には負け犬という視線で見られていたとしても、だ。

だって、それがこの家族の幸福感を損なっているか?といえば、このラストを見る限りでは、全くそんなことはない。

この映画に出てくる家族のメンバーはみんながみんな。「勝ち組」「負け組」に分けるとしたら、「負け」確定!な人たちばっかりで。それは物語の始まりから、ラストにおけるまで揺らがない事実となっている。

最後まで彼らの境遇は変わらない。いや、むしろ悪化してると言えるんじゃないだろうか。オリーブは決して"リトル・ミス・サンシャイン"にはなれない。

彼らに奇跡は起こらない。

だけど、そんな彼らでも人生の魔法は起こすことができた。幸福はいつでも手の届くところにある。

これが「リトル・ミス・サンシャイン」のラストを見て思ったことだ。

で、初めに戻るんだけど。幸福って本当に主観的なものだと思う。

たとえ境遇がこれっぽっちも変わらなくっても、むしろ悪くなろうと本人の心次第で、どうにでも受け止め方は変わる。きっかけさえあれば簡単に魔法を起こしてしまう。

そして物質的・社会的な勝ちによるハッピーエンドというものではなく。このような心理学的ハッピーエンドを持ってきたところが、この映画の現代的なところで、最大の特徴じゃないだろうか。

"価値観のスライド"

現代的幸福のポイントはここにあるのかもしれないなぁ。 なんとなく、そう思った。

(評価:★4)

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