[コメント] こわれゆく女(1975/米)
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自分の感情を抑えられない女性とそれを見守る家族。温かいヒューマンドラマというより、彼等が理想的な家族になろうともがき、ぶつかり合う、強烈な映画。
ギリギリに生きているジーナローランズに取って、夫の愛情(家族)が世界で唯一の心のよりどころであり存在意義なんでしょうね。 仕事で朝帰りの夫と客をもてなそうと必死にもてなす例のスパゲティーシーンの緊張感!いつ爆発するかわからないピンと張り詰めた糸。単なる食事のシーンですよ!?退院後、恐る恐る家に戻って来て、自分を入院させた常識的な世間を代表するような人々(客)の様子を窺う。それに気付く夫。一刻も早く自分と世界の繋がりである夫に愛されたいと客に「夫と寝たい、二人きりにさせて欲しい」と告げるジーナローランズ。
自分なりのやり方で理想の家族を作ろうとする夫。強引で暴虐で、必死にもがき、それでも妻を愛し庇い守ろうとし、仕事中に男を連れ込んだ事も知らないふりをする。時には主治医や子供を預けに来た保護者にもぶつかり。妻がいない時、無理に楽しもう、無理に理想の家族足らんと子供達を海に連れて行き強引に楽しませようとするシーン。
常識というものに侵されていない子供達は母の愛情を素直に知っており、最後まで守ろうとする。
憎たらしい姑を含め誰も彼も不器用で、平凡で、人格者とは言えない。 そんな彼等のぶつかり合いに無垢な愛情を感じてしまうんです。
始まって終わり、解決めでたしめでたし。という映画ではないと思う。ぶつかり合う家族のある時期を見届けたに過ぎないと思う。絶望的ではないが今後この家族が平和に暮らせていけるとは到底思えない。
それでも一歩一歩進む決意と、希望を感じた、いや、感じたい映画でした。
これも映画なんですね。ふう、凄い映画だ。(映画が終わった後の心配までさせるか?)
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