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[コメント] アニー・ホール(1977/米)

とにかくセンス爆発。良質のラブソングと同じで恋に悩んだり落ち込んだ時に何度でも見たくなる。
新人王赤星

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







アレンは結局最後まで変らなかった。プライドが高く神経質で自分のセンスに自信を持っている。悩めるノイローゼ気味の都会っ子そのままだった。

アニーホールは変化した。成長したとも言える。NYからカラっとした大空の澄み渡るカリフォルニアに旅立ち、ポールサイモンとの出会いで自分の夢の実現にも近づいた。

彼女と共に変る事も出来ず、結局破局を迎え、でも未練たらたらで、しかしつまらないプライドは消せず。他の女性に彼女の影を求めて虚しさが残る始末。ああ、情けない。全ての恋に悩める人と同じく・・。

恋愛の発生から終焉まで、お互いの駆け引きや揺れ動く心の違い、切なさと葛藤を描けているだけでなく、自分の生い立ちや拘り、映画オタクへの皮肉など美しいNYの街を舞台にジョークと遊び心を交えてちりばめ、ひたすらカッコ良いんです。

彼の女性観は「こんな僕をメンバーにしてくれる程度のクラブには入る気がしない」である。 これは多くの人が経験あるのではないでしょうか?特に失恋直後とか。ネガディブで自虐的な心境。(自分なんかが)簡単に手に入るものは理想にほど遠く、自分の理想の相手は自分(なんか)を受け入れるはずはなく、手に入らなくてますます愛しい。 それはもう一つのジョーク、

「先生、私の兄弟は気違いで、自分をめんどりと思っています」 「それではなぜ、入院させないんだね?」 「でも私には卵が必要なんです」 のように不条理で狂ってて滑稽だ。しかも、それでも良き出会いを求め続ける。 「だって僕達には卵(愛)が必要だから」だ。

結局アニーホールはNYに戻って来て別の男と暮らす。 彼女がその男をかつて一緒に観た「悲しみと哀れみ」に連れて行こうとしているのを知って「勝った。その映画は俺が最初に連れて行ったんだ。俺が最初に一緒に観た男なんだ」と思うアレン。嗚呼・・、そういう情けない気持ち・・、すっごく身に覚えある。。 その再会場面、流れてくる彼女の歌声と思い出の日々。 恋愛は最後にとても切なく爽やかで美しく、不条理でした。

(評価:★5)

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