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[コメント] めぐりあう時間たち(2002/米)

「家に帰ってご飯を食べろ。それが義務だ」
新人王赤星

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







逃亡を企てたヴァージニアに夫が言い放つ。

常識的な価値観を共有できないものはマジョリティに殺される。誰かの決めた幸せの形に押し込められる。たとえそれが自分と合わないものでも。本当の彼女達の姿は殺されてしまうのだ。恐ろしいのは、悪意からではなく、むしろ善意から彼女達が殺されること。

優しい夫、子供に恵まれた家庭、社会の決めた幸せの形。それが窮屈な人間がいる。だけど、誰もがそれを幸せと感じることを世間は求める。それが恵まれている幸せの形であって、拒否する人間は否定される。だから彼女達は自分を殺して生きているのだ。それが社会の求める義務だから。

ダロウェイ夫人は華やかなパーティーで心の絶望を隠し、幸せを演じる。リチャードはその偽りの儀式に付き合う事を拒否した。

この世で最も醜い暴力は、自分達と違う価値観、目立つ存在、はみ出し者、そういったマイノリティを排除しようと社会を覆う顔の見えないマジョリティの力だと私は思っている。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)ぽんしゅう[*] Ryu-Zen わっこ[*] tredair[*] tarow

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