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[コメント] アザーズ(2001/米=仏=スペイン)

蝋燭の光に浮かび上がる世紀の神経症美女、青筋の子供たち。前列に陣取った事を後悔したくらいビクッと体が跳ねた。でも待てよ。何かがおかしい。彼女たちはなぜに怖がっているんだろう。私はなぜに怖がっているんだろう。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







オチ映画としてはヒントをたれ流し過ぎている点は気にしないことにして。それよりも、私はこの設定自体にあまり説得力を感じない。どうも納得がいかない。私の違和感はあの使用人3人組。

私の場合、ネタがほぼ想像ついた段階から、じゃあこの3人の使用人たちは一体何がしたいのか、ということが気になり出して、以降そのことをずっと考えていた。そう思いつつ見ると、この3人、何かと言動に根拠がない。不必要に不安を煽り、母子に真実を伝えたいのか隠したいのか意味不明。ずっと隠し通そうとしているわけでもなさそうだ。怖がらせること自体が目的としか思えない。いやでもそんなはずはない。そこで私は、ここまでの壮大な話だ、何かあるんだろう、優しく「あなた方は残念ながらこれこれこういう理由でこういう状況で、これからこういうことが起こるやもしれませんがお気を確かに。」と言っちゃあいけない大きな理由が何かあるんだろう、と、答えをずっと待っていた。それなのに、結局最後までその点に関しては何も答えてもらえなかった。だから、ラストも、私にとってはちっともオチていないということになった。

子供みたいな興醒めなたわごとで申し訳ないんだけど、気付かせるのが目的ならば怖い思いをする前に、ゆっくり順を追って分かるように言葉で説明してあげれば済むことではないのか?自分で気付かなきゃならないにしても、ショックを和らげる手助けをしてあげてもいいのではないのか?どうせ後から見せるなら墓や写真を中途半端に隠してまで恐怖体験させる必要はないのではないのか?まして、自分たち自身がおどろおどろしく暗闇から迫って彼女たちを怖がらせる必要などは全くない。そんなショッキングな知らせ方してるから、声が出なくなったりするんだって。

思うに、この母子が恐怖体験をしなければならない理由はただひとつ。私たち観客を怖がらせるため。そりゃ怖かった。家に帰って後ろ手に閉めた玄関の扉の音にギョッとする後遺症が出るほど怖かった。でもそれが必然性のない取って付けた恐怖だというのはなんだか騙された気分だ。何かと比較されるあの映画には、その設定の必然性ってものがあったように思う。私の中ではインド人の圧勝。こちらは、どちらかというとびっくりさせ映画としての13金の存在価値に近い。

(評価:★3)

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