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[コメント] ある愚か者の悲劇(1981/伊)

最初から悲劇(?)だったのかもしれない。
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前半は★4、後半は★2。

とりあえず、そつのない仕上がり。全体的に起伏はなく、淡々とストーリーが進行していく印象。前半の1時間ぐらいまでは良かった。この映画もベルトルッチの映画に頻出する《金持ち‐貧乏》の関係が一つのメインテーマだろう。それを息子の誘拐事件を突端として言及を開始している手法が面白い。また、誘拐からはもう一つのテーマである父と息子の関係も炙り出されているわけで、構造的には優れている題材なのではないだろうか。

が、中盤辺りから次第にかったるくなってきたのも事実。テーマを設定したのは良いが、そこからの引出しや広がりが余り感じられず退屈してしまった。娯楽性はいつものように殆どないが、それが原因というわけでもない。特に晦渋だったわけでもない。娯楽性がなくともしっかりと作品を完成させる能力を持つ監督なのだから。

音楽はさほど印象に残らなかったが、やはり映像は凄い。単純な美しさだけでもトップクラスの出来であり、また映像が実に「映画的」だったと思う。人物の配置についてとても凝っていることが分る。映像が物語を語り得る良い例だろう。チーズがずらっと並んだ壮観なシーンは最高に素晴らしい。ラストシーンも『1900年』『ラストエンペラー』のようにユーモアが有って良い。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ガブリエルアン・カットグラ[*]

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