コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 必死の逃亡者(1955/米)

ウィリアム・ワイラーは鬼。
24

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私のウィリアム・ワイラーに対する信頼はかなり高い。今回も予想をまったく裏切らなかった。特に1950年以降の作品はことごとく面白い。とにかく、映画は第一条件としてまず、観客を厭きさせてはならない。観客の心と目を最初から最後まで引きつけねばならない。言い換えれば、映画は面白ければ全てOKなのだ。けれどもこの第一条件をワイラーほどコンスタントに遵守できている監督が映画史の中でどれほどいようか?

まずオープニングの何気ないシーンで既に面白い。クライマックスが面白いのは当然なのだ。問題はなんでもないシーンをどう魅せるか、だ。そこに監督の力量が掛かっている。私は普段映画を観ていて物語の伏線に気付くことは滅多にない。そんな私にも父子の会話は伏線なのだろう、と分かった。メリハリがあるのだ。このツカミのレヴェルの高さを見て矢張り私はワイラーに対する信頼を高めた。そして今後のシーンで一体どれだけ楽しませてくれるのか、とわくわくしてしまった。

期待通り、密室劇的なやり取り、そして音楽や音を排し緊張が高められたクライマックス。まったく、お手本だ。 

これらは全てワイラーの演出力の賜物なのだ。ウィリアム・ワイラーは鬼としかいいようがない。

気になったのはボギーの弟役の俳優がどうしても悪人には見えない点ぐらい。すげー正義っぽい顔してる。なのに死に方無残だし。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。