[コメント] アラバマ物語(1962/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
コメントを書くのが難しい｡とても真摯な映画だ｡私も真摯に観ることが出来た｡長いレビューを書く前は大体下書きを紙に書いているが今回は書くことが出来ない｡考えが巧くまとまらないからだ｡でもなるべく見た直後の感想を書きたいので今こうしている｡
他の方も仰っているが２人の子供は本当に幸せ｡恵まれている｡女の子のほうは裁判観覧中にちょっと眠くなっていて危なかったけどやっぱり学ぶとことはあったみたい｡世の中には良いこと美しいこともあるが醜いこともたくさんある｡でも大抵の親は事の醜さが度を過ぎていると判断すれば我が子の目を覆う｡もちろん親に子供を気遣う余裕があれば｡子供は世界には醜さにも限度があると無意識のうちに認識し（或いは対岸の火事と認識し）、いざ成長して広く社会とかかわるようになって初めていろいろな苦い�犒亳貝瓩鯡�わい戸惑う｡もしくは衝撃を受けまた成長していく｡もちろん社会にふれる年齢は個人差があるだろう｡今の私がそういった感じ｡
ここでのテーマ黒人差別問題もかなり醜く、そしてアメリカではかなり日常的な問題だ｡舞台のある町田と子供が差別に良くも悪くも関わるのは遅かれ早かれ不可避のように見える｡ペックは２人の子供に常々何が正しいのかを教えているようであり、自らが担当した危険な裁判やその周辺を見せる｡２人が幸せだといったのは幼いときに重要な経験を積めているから｡しかも事実を真剣に見つめシリアスなものをかなり学んでいる｡人生経験の比較的浅い私が言うのもなんだが人生早いうちにいろいろな目にあって経験をつんでいたほうが良いような気がする｡自分は今いろいろなものを見てへこむことも結構ある（これからもあるだろう）｡人にもよるだろうけど、メリットの一つに�狢兩��瓩�身につくってのがあるのではと思う｡
蛇足だけどそうした経験の後人間は２つの道に分かれると思う｡ひとつは出来事を真面目に捉え学ぶことのできる人間｡つまり自分の中に吸収・消化できる人。もうひとつは出来事から向かい合わずに直視せずにぶつかりそのままになってしまう人間｡つまりいろいろな目にはあっているけどそれだけで「世の中なんて云々」が口癖の妙に�狠４儉瓩靴真�｡でも明らかに２人の子供は前者のような人間になるだろう｡出来すぎている感もかなりあるものの本当に真摯だ｡やはり父ペックの愛情があったからこそなのか｡
女の子が怒る群衆に対して話す場面｡彼女の正鵠を射た言葉に町のおやじたちは己に恥ずかしさを覚える｡何故か?彼女の言っている事は男たちの心を揺さぶったからだ｡つまり男たちは自分の行いがそう正しいものではないと知っていながら、もしくは心の奥では自分を否定していたかもしれないがとにかく差別行動をとっていたのだ｡この出来事がミクロ的な、そして顕在的な集団心理的差別行動だ｡レイプ娘の父は果たしてどの程度まで差別意識があったのか｡娘の名誉を守るために黒人青年を弾劾しているのか｡それとも骨の髄まで差別意識のかたまりなのだろうか｡青年が死んでしまってはもうどちらでも変わりはないのかもしれないが、できるならまだ前者のほうが救われる｡
青年はペックに信頼をおいていたようだ｡ペックの法廷での熱弁は感動的だ｡できればここをクライマックスにしてほしかった｡なのに陪審はあっさりと有罪｡彼はそんな世界に絶望しての自殺だったと思われる｡むろん青年にもいろいろ欠点はあるだろうし、実はあくどい奴である可能性も｡でも構造的に見れば彼に非はない｡レイプ娘の父は他人の靴を履いたことがないだろうし、履こうともしなかっただろう｡あっ、思い出した｡そういえば奴は２人の子供を殺そうとしたんだっけ｡となると同情の余地もありませんな｡
っていうか最後のほう単なる感想になってしまった｡もっといい批評を書きたかったな｡
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