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[コメント] マッチ工場の少女(1990/フィンランド)

「ダシ映画」。
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★4・5

カウリスマキは、疑いなく自分と同時代に生きる巨匠である。彼の名は後世まで永く残るはずだ。今回も見事に「カウリスマキ印」の刻印が押された作品で、期待は裏切られなかった(本当にハズレのない人だ)。そして(筋合いもなく偉そうに言うが)この監督は映画をよく分かっている。

‐「シンプルな映画を作る監督こそ、最高のテクニシャンである」

と、いま自分で思いついた名言(?)。ここまでシンプルな映画を作るのは難易度が高いのだろう。カウリスマキは最高のテクニシャンだ。一瞬の表情、些細な仕草、それらはみな極限まで抑制されている。にもかかわらず、情報を確実に伝えている。「ここまで見せれば、観客は理解できる」そのボーダーラインを監督は熟知しているのだ。これは才能なのだろう。人間科学/運動科学(←身振りなどを研究する学問か?)を勉強したってそう簡単にできる術ではない。単に分りにくくなっている多くの芸術映画とは一線を画している。このシンプルさ。拙い比喩で恐縮だが、一般的な映画が「チキンカツ」だとするならば、この映画は「鶏ガラ」である。我々は「ダシ」を味わっているのだ。いやらしい言い方だけど、自分は本作のような「ダシ映画」を味わうことが出来、幸運である。(好き嫌いとは別に)粗野な人間には最も解らないであろう作品だと思った。

コメントを書くのが難しいから、抽象的な文章になってしまった・・・。

主演女優の選択はキャスティングの勝利というしかない。なんというか、カビ臭さ(みたいなもの)が漂っている。確かにダンスには誘いたくないかも・・・。というか、絶対に関わりたくない!怖い!この作品がハリウッドでリメイクされたら、それはそれはド派手な代物になっているに違いない。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)山本美容室[*]

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