ハリウッドの大作のような派手さはないが理屈抜きに楽しめる｡淡々とストーリーが進行していくのだがジャン･ピエール･メルビル作品のような趣がある｡エドワード･フォックスは知らない俳優だったがクールでかっこいい｡印象的なのはラスト近く、警備をかいくぐっていよいよ標的に接近するシーン｡あれは最初本物の替え玉を使っているのかと思った｡そしてラスト。やっぱりはじめはあっけないとは感じたが、後になって逆にこの映画の新鮮さに気づいた｡つまり普通の映画だったらあそこまで引っ張っておいたんだからやっぱり暗殺は成功させてあげなくちゃ、みたいな終わり方になるところを敢えて失敗させたところに何か粋なものを感じた｡粗を探すとすれば警部の描写がかなり少なかったところだろう｡