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[コメント] カラフル(2010/日)

母親をゴミのように睨み付ける小林真。母親はそれでも笑顔で応戦、小林は反発するように逆ギレ、母親は混乱しつつも食い下がるように接するという恐ろしい攻防が続くんです。なんだよこのアニメ。積み木崩しかよ!久々に胸がキューってなったよ
ギスジ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一度命を絶った少年が、他人のボディで人生をやり直すという話なんですが、案内役の「プラプラ」の余計な情報をきっかけに、出だしからやさぐれてしまうんです。母親の不倫を理由に母親を何度もいびり、プラプラに「しっかりしろ!」と言われても、「なりたくてなった訳じゃない」とか「どうせ他人のボディだし」と投げやりな事を言うんです。学校も久々に登校し自分がクラスで浮いてるなと感づくと、すぐやる気が失せ進路の話でも「別にどこでもいいっす」とダメっぷりを序盤から発揮します。本来この手のお話だと、主人公はもう少しポジティブで、前向きな変化があるんですが、1度チャンスをもらった小林真は、結局自殺した以前と同じ立ち位置に戻ってしまうんです。一度人生を諦め自殺した子が、が突然意識を消して、「もう一回やり直せ!」となっても人間そんなに急に変われないんだと思いました。

自暴自棄になった小林真を観てるとまるでモンスターだ。親に目も合わそうとしなければ、美味しそうな料理を作っても全く食おうとしない。夜食ですら食わねぇ徹底ぶり。自らの将来さえ投げやりな対応で母親を苦しめる。それでも母親は「自分の人生なんだから好きにしてもいいのよ。でもね…」と息子に相談の場をもうけようとするが逆ギレされる。反抗期の子を持つ母親の大変さを痛感するシーンでした。僕ならこんなモンスター手なずけられないよ。母親はそれでも必死に笑顔で接する。長男の大学受験が迫っているというのに、必死に小林誠と向き合おうとする母親の姿に泣けました。

そんな小林真にもロマンスはあって、二人の女の子が登場するんですよ。一人目の女の子は外観がもっさいメガネっ子で、色々気にかけてくれてるんみたいだが、メガネっ子のアプローチが若干変わってるんで伝わらないんです。もう一人の子は年下の可愛い子で、完全にはぶられてる小林真に気兼ねなく喋りかけてくれるんです。異性との接し方も上手く、小林真はあっという間に恋に落ちます。その横でメガネっ子の変な態度を見て二人で「ぷぷぷ…」笑うんです。この二人の女の子のキャラがとてもよく出来ていて、特にメガネっ子なんですがちょいブスでおどおどした感じとか、クラスで「あーーいたな」と思わせるリアル感でちょっと感動します。そのメガネっ子だけは小林を気にかけてるのに、彼にはメガネっ子は霞んで見えてないんだよな。可愛い子に目がいってしまう歯がゆさ感がとても出ていました。

年下の彼女のおかげで学校へ行く楽しみが出来た小林真は、オシャレに髪型をキメ、ナイキのズームフライトを履き、外観から変わろうとします。僕的にはそれだけでも大進歩だと思いました。異性に恋をするというパワーは相当ですもんね。あと早乙女君も良かったです。彼も小林に気さくに喋りかけてくれる男の子で、段々と小林君も彼と一緒に遊んだりするんです。早乙女君が「私立に行きたいけどウチは金無いんだよね」と言うシーンに、小林真は学費がそんなに家計を圧迫するとは知らなかったと思うんです。僕も学費に親が苦労してるなんて卒業してから知りました。小学・中学の頃なんて、友達と遊びながら学校では教えない「常識・非常識」を教えてくれる所だと思うんです。

後半の鍋を囲むシーンで父が小林にピッタリなパンフを見せても、自分の将来より友情を選ぶ真君の泣きじゃくる姿に感動しました。ラストに進むにつれ、生きる意味のテーマが重くなり文部省推薦的な映画になるんですが、それは仕方ないと思います。この映画のメッセージは「とにかく死んではダメだ。」と若い人に訴えてる映画でもあるからです。あと大学受験を控えてる長男もいいですね。10代の頃って兄弟と会話しなかったなーと思い出しました。僕は姉がいるんですが道で声かけてもシカトされましたもんね

(評価:★4)

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