昔殺しすぎて自らの剣を封じた主人公の話で、許されざる者にも似ているが観る前の印象は「どうだろうね」て感じだったけど、オープニングで主人公が敵と斬り合いをするシーンで「ズババッ」と目にも止まらぬ速さで、敵も味方も思いっきり刀をブンブン振り回すんです。カッコイイんだが早すぎてよく分からない。ていうか危ないなぁと思った。カメラの撮り方や編集の見せ方もあると思うが、それでもミスって相手に当たると怪我するだろと思う速さである。主演の佐藤健は女性のような美しい顔立ちなのに、立ち回りの凄さや運動神経のギャップ感を見せられると、「真剣にやってるんだな」と（あたりまえだが）感心してドラマに集中出来る。僕の好きなシーンで、剣心が侍5人（だっけ？）を抹殺する回想シーンは観ててちょっと怖いくらいだ。戦闘モードの剣心の姿勢はかなり猫背で、正面から走りながら瞬殺で4人を殺し、なかなか死なない侍に何度も切るんです。回想シーン自体はとても短いシーンだが、世のため人切りという選択をした主人公の葛藤と、人を殺す難しさという黒い部分がとても出ている。映画全般のドラマ部分は斬り合いの時の「重さ」は無くノリのいい雰囲気作りなんで楽しく観れます。ヒロインの武井咲が女剣士というアニメのような萌え設定も悪くないし実際可愛いんだ。主人公にビシッと木刀を振り回すシーンはいいですね。

香川照之は悪い奴だが「いやらしい奴！」て感じではない。アヘンを売って大金を稼いでるシーンも無ければ、それによって苦しんでいる描写が薄いので惜しいと思う。どっちかって言うと面白キャラなので、あらためてこの原作は少年誌なんだと再確認。ただ最後でバルカン砲で撃ちまくるシーンはゲスさがにじみ出て良かった。香川照之の周りを囲んでいる個性的な人斬り抜刀斎はどれも強そうで頼もしいが、吉川晃司以外はあんまり登場しないんだよね。そこはもったいないし人切り同士の斬り合いを観てみたかった。個人的にはチャウ・シンチーならもっと面白く撮ったと思う。しかし、日本古来から伝わる「武士」そして「刀」を、あんなに格好良く魅せたのは素晴らしいし誇れると思う。あと吉川晃司はいいですね。前半で警察署を襲撃する「ターミネーター」みたいなシーンがあるんですが、吉川晃司が蒼井優に段々と近づいてくる距離感がなんとなく分かり「早く逃げないと！」と冷や冷やしました。ラストでも剣心との決闘は素晴らしく、剣心が吉川晃司と殺し合いをしていくうち己の力を段々呼び覚まし、吉川晃司の額を切るんです。額を切られた吉川晃司は普通は動揺するもんですが、むしろ嬉しそうな表情で「オレは命なんか惜しくない」お前の眠っている人切りの覚醒した状態が見たい！と言うんです。敵ながらあっぱれ感がとても良かった。あと、僕はラストシーンがとても大好きで、剣心が吉川晃司を殺そうとすると武井咲が、ゼーゼー言いながら「殺しちゃダメ！」と言うんです。こんな状況でも剣心に人を殺させてはいけないと止めるシーンは感動します。チンピラに看板を壊されても、剣心に人を殺したことのない女の戯言でござる」と言われても、父親の信念を頑なに守り抜きます。それにハッとした剣心の表情も素晴らしかった。正直、薫にソコまでの信念は映画では読みとれないが、彼女の真っ直ぐな目線にウソは無いと思い感じるようにしました。けど剣心はどこまで守れるんだろうね。これから強い敵が来るかもしれないし、正直覚醒した剣心を観たい。悪魔の誘いを必死で封じ込めようとする剣心と薫。大変良いコンビだと思います。続きが楽しみだー。