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[コメント] クロニクル(2012/米)

手持ちカメラで進行していくスタイルで中盤までは楽しく観ていたが、後半にかけてストーリーにブーストが掛かると、手持ちカメラの設定が段々ネックになってくる。もう途中から「手持ちカメラの設定なんか捨てて普通に進行してくれ!」と思った。
ギスジ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







主人公のアンドリュー含め3人の少年が、同時に超能力が使えるという設定がとても好きです。最初は3人で一つの物を動かすだけでキャーキャー言っていたのに、段々超能力を使いこなしてくると、3人の超能力にそれぞれ個性が出てきたり、お互い相手の超能力を意識しはじめたりする流れがとても好きです。なんか漫画の「ドラゴンボール」読んでる気分になります。最初は悟空しか使えなかった舞空術(空を自由に飛べる技)を、クリリンやヤムチャ達が後追いで舞空術を使えたりする流れがとても好きで、「この3人はどこまで成長していくのか?」とワクワクしながら観ていました。

段々と使いこなしてきた超能力で、様々な問題を起こすシーンもいいですね。スーパーでお客の買い物かごを動かして驚かせたり、空き地で自分らの超能力のお披露目ショーなどやったり、からんできたヤンキーの車に力を入れすぎて大事故にしてしまうシーンは、冷や冷やしながら観ていました。「もう少しうまく超能力を使えばいいのに」と思うのですが、なぜか共感できます。彼らからしたらピンポンダッシュ程度の事なんでしょう。僕も10代で同じ能力が出来たら同じ事をしていたと思う。ましてや同じ能力を持った仲間と行動すれば、もっと派手な事もしたくなるだろうな。とにかく行動が馬鹿で、若者がやりそうな心理描写をよく捉えて表現していると思います。

そんな素敵な超能力生活もやはりそんなに長くはずもなく、黒人のスティーブは超能力による事故死に、アンドリューは家庭内に問題を抱え、精神不安定になりしまいには強盗をまでしてしまいます。超能力を手に入れ空を飛べるようにまでなったのに、自分自身や家庭内の状況は何も変えられずに、誰にも相談出来なかったアンドリューが不憫でならない。しかしマットとスティーブがとてもナイスガイな奴らんですよ。相談してればなんとかなったかもしれないのにと思ってしまいます。

とても個性的で映画で最後までグイグイ引っ張って行く内容でした。この手のジャンルには珍しいドキュメンタリー調な表現だったり、未熟な彼らを指導する伝道師みたいな、もしくはそれを利用しようとする悪い大人達も最後まで現れず、最後まで高校生3人が超能力を面白半分に使うだけで、勝手に自爆して「THE・END」という、後味の悪いインデペイデント映画みたいなラストもこの映画の個性だと思います。ただ個人的になんですが、もう少し仲のいい3人を観ていたかった。あの3人が「キャッキャ」している映像はとても楽しそうで何度も観たくなる。あとスティーブは死んでほしくなかったな。良い奴だったのに可哀想だな。3人で時間を掛けて、なんとか亀裂が入った関係性もきっと解決してくれたと思うよ。

(評価:★4)

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