コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] シン・ゴジラ(2016/日)

14年のギャラゴジラを観て「もう日本が出る余地ないんじゃね」と思っちゃった僕は恥じたい
ギスジ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







庵野秀明の魂の作品。もの凄いテンポの速い作品で、官僚やスタッフが恐ろしいほどの数で出てくるんです。前半だけでも映画の情報量や圧が凄くて一瞬ひるむが、それでも映画の展開が分からなくなることは一切無かったです。むしろ人間ドラマ部分が相当面白くて、ゴジラによって政府が慌てふためいている状況を観てるだけで、相当のカタルシスはありました。あと、「実際ゴジラが現れたら政府はどう動く?」という所から、相当リサーチして作られたんだなと感じる作りで、聞いたことのない名称や、難しい漢字がドンドン出てきて、同じ列にいた子供達は飽きちゃって暴れてました。お母さんが必死で「しーー!」とか言うんですが、無視して可哀想でした。本来子供が観るジャンルなのにね。大人の映画と言いたくはないが、リアリティを優先しているのでしょうがないですね。登場人物にもドラマに左右しそうな人や馬鹿なキャラが出ないんで、変なフラグが立つなんて事は全くないので、僕は純粋に画面に釘付けでした。

ドラマが恐ろしいほどの完成度で進行するので、ゴジラが日本上陸濃厚となるにつれ緊張感と期待が半端じゃないんです。途中ナメクジみたいなゴジラが出たとき笑いが起きたが、ナメクジじゃないゴジラが上陸し始めると、その凛とした立ち姿に感動しウルッとした。ゴジラが上陸した町が壊滅状態になっていく様子を観てるとまた涙が出てくる。その涙は経験した事がある涙で、「アレなんだろ?」と思ってたら、東日本大震災で流した涙でした。もう、ここからキモいレビューが続くんで恥ずかしいんですが、3.11を経験した僕はあの日を忘れないし、それで福島原発という恐ろしい経験もしました。それが色濃くベースとなって作られている。一般人を完全に排除した作りで、現場による被害を細かく知る事は出来ないが、政府関係者が胸を痛めている姿に泣けてきます。クローバー・フィールドも3.11以降に観ると、9.11がいかに恐ろしかったのかよく分かる作品で印象が違って見えました。その恐怖体験も娯楽映画に作っちゃうあたりのタフさは、ゴジラもそうですが素晴らしいと思います。

一番の見所であるゴジラvs自衛隊の戦いはもう素晴らしくて、特に自衛隊のヘリとゴジラの接触のシーンは最高で、劇中交信する無線の会話が臨場感をより出してくれるんです。ヘリが発砲許可を何度も通信を経て確認し、攻撃をしようと思ったその瞬間、ヘリのパイロットが民間人を発見し総理が「国民の命」を選択してしまうという総理の苦渋の決断っぷりには「馬鹿だな」と思いつつも「国民を守ってくれてありがとう」と色んな感情が渦巻いて最高に興奮しました。

最初はゴジラの暴れる姿に「おおお〜!」と観てましたが、ヘリや戦車がゴジラによって爆破してしまうシーンになんか泣けるんですよね。映画に出てくるみんながゴジラをくい止めようと一生懸命な姿に涙します。終盤、倒れたゴジラの口に無数のタンクローリーが液体を流している時「早く早く!」と思いながら観てたら、ゴジラが気づき第一陣が全滅したときは絶望しました。ホント可哀想でした。そしたら第二陣もちゃんと準備してあって、殺されるかもしれない覚悟でタンクローリーを運転しているドライバーや現場の人を思うとさらに泣けました。あとゴジラに特効し散っていった電車達もみんな頑張ったと思います。怪獣映画にこんなに感情を持ってかれるとは思ってもみなかった。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (8 人)Myrath[*] カルヤ[*] ホッチkiss[*] なつめ[*] 3819695[*] 荒馬大介[*] おーい粗茶[*] ロボトミー[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。