TV版TOSは今観ると特撮のチャチさがダメで全て観ておらず、想像で補える小説版の方が好きだった。映画版はというと特撮の面では問題なかったが、飛び抜けた面白さは無くまあまあの出来と感じていた。予告を観た時は「今度のは面白そうだな！」といつも期待していたのだが。

　で今作はどうかというと、TOSの前の話にも拘わらず、ちゃんと今の映画になっていてとても面白かった。今回のような派手な作品は、「こんなのスタートレックじゃない！」と言われそうだが、自分にとっては問題なかった。

　ただ一つ一つのエピソードが短く矢継ぎ早に展開しているので、面白さ反面物足りなさがあり、ちょっとあっけなかったような気もするが。今までの映画版は年寄りがよそ行きの服を着て頑張っているという感じで、ドラマ本来の面白さがあまり出ていずなおかつ映画ならではの華やかさにも欠けていると思っていた。敵役のあっけなさは相変わらずだったけど。ただ紹介が済んだ次作が本当の航海もとい勝負だと思う。もっと派手にいくのかやや内面を掘り下げていったり哲学的なテーマでいくのか。

　観ている最初はTV版と設定が違うのでとまどいがあったが、やがて並行世界の設定が理解できればすんなりと入っていけた。悪役の死亡後以降の展開は、ラストのあのナレーションも含めてニヤニヤしっぱなしだった。パッパッとスピーディーに切り替わる画面や華やかな設備や装備などを見ていると、カークの若かりし頃というより、カークの息子達を描いているような気がした。各人が親父に似ているな〜という感じで。