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[コメント] 少林寺三十六房(1978/香港)

 少林寺の修行法をしっかり見せる、という所がウリの大変地味な映画なのだけれどもこんなにワクワクするのはいったいどうしてなんだろう。
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 三十五房あるうちの十一房しか出てこないのだけれども、まあよろしい。バランス・腕力・集中力・腕力その二・頭。この五房で基礎を固めてそののちに徒手及び武器(しかもはじめの房ではまず書物で訓練!)の応用編。残りの二十四房で何をやるかはわからんけど(『少林寺武者房』に出てるようなツルツルの床で頭ゴンゴンという複合訓練や健康のツボや薬の知識でも学ぶのだろうか)、そして最後は精神修行の房。外功と呼ばれる少林寺派の修行法を、地味ではあるけれども丁寧に、そして、これをやるとこれができる、と修行の目的がわかりやすいように描写していく。本当にこんなことするのかどうかは知らんけど、そこにあるのは紛れもなく合理性であって、それが私を引きずり込んでいくんだきっと。

 リューさんが厳しい修行を通して人間的にも成長するところも好きだ。はじめ、リューさんは一生懸命ではけれどもなんにもできない青年だ。反清復明というおなじみの志を胸に抱いていても腕っ節がからっきしということで、友が捕まり、家が襲撃されても何もできない。この悔しさ。 修行のはじめあまりのつらさにズルをするリューさん(この時は三徳さんか)。このリューさんが修行に、そして努力に目覚めていく過程が好きだ。飯堂で、リー・ホイサン戦で壁に当たるたびに努力し、そして三節棍を生み出す! リー・ホイサンもただ単に頭の固い高僧なのではなく、修行の最後の壁にふさわしい厳しさ、成長ぶりを認める器の大きさを見せていてとてもいい。(この役どころは『少林寺武者房』とまったく同じだな)

 修行シーンが抜群に面白いのでその後の復讐・弟子集め編が何となく付け足しのように思えてしまうのだけれども、リューさんははじめの志を忘れはしなかったのだ、ということでまあいいのだ。ロー・リエ戦も面白かったし。

(評価:★5)

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