[コメント] 恐るべき子供たち(1949/仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
悲劇の人物は真実を知っていなければならない。おかしく悲しく、真実の流れに逆らおうとあがく姿が悲劇なのだから。
悲劇女優のつもりの女。完全に演じきりたい女。自分の分身で離れがたくついているものだと信じていた弟が自分から離れるとき、「衝撃的な真実」を知ってしまう女。何も知らなかっただけではただのバカだ。この物語から閉め出し食うのは許せない。「主役は私よ」と言わんばかりにホールでタブーを犯す女。彼女の最後は「愛する弟に裏切られた哀れな女」のつもり。ここまでくるともうあっぱれと言うしかない。
日常生活すべてが舞台劇の女。この女の幸福は、この映画を人に観られることにある。だって女優なんだもの。この女の不幸は、この女に感情移入しにくいことにある。だって子供なんだもの。論理的思考力がなく、想像力に欠けるため、空回りのひとり芝居を演じていることに気づかない。誰もが自分を愛し、愛されていると思いこんだ、それは不幸。悲劇ではない。知らないのだから。
あの女はフィルムに焼き付けられている。もう自分を変えることはできない。観ている人々の反応を知ることはない。彼女は不幸な女。悲劇の女にはなれなかった。こんな見方しかできない私はあの子供たちより残酷かもしれない。
映画の内容と関係なく気になったことといえば、すんごくムチムチの短パン姿。コクトーの命令なのかしらん?愛人を準主役に据えて、ナレーションまでやっちゃって、影響でかすぎるぞ。
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