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[コメント] 上海から来た女(1947/米)

 オーソン・ウェルズ・イン・ザ・デカダンス。
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 「計算高い女」はそれが発覚した時点で「みじめな女」に変わる。隠し通してこそ悪女。潤んだひとみ、濡れたくちびる、前半それだけで「かよわい女」を表現してみせた彼女は見事だった(と思う)。まあ、リタ・ヘイワースってキャラが私の中に先にあったので、かなりうさんくさかったけど。

 マイケルが足を踏み入れた、異様な世界。そこでは人が汗だくで働いている最中に観光にいそしむ人々がいて、家庭内に探偵が放たれ、金のために人殺しが計画される。異形の男と美しい妻。一生懸命だけでは到達できない何かがある世界。そこに巻き込まれた一人の男。彼はきっと忘れられるだろう。彼の惚れた女は退廃に巻き込まれた哀れな女ではなく、ただの、みじめな女。芯からその退廃に染まりきった、彼とは違う生き物だったのだから。

 『市民ケーン』で当時の新聞王ハーストをおちょくったというこの男、彼にとってこんな“ブルジョワ”は滅ぶべき、見下すべき存在だったのか? まあもっとも、これやあれだけでそう判断するのは早計に過ぎないとはわかってはいるのだけれど。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)おーい粗茶[*] 甘崎庵[*] ジェリー[*]

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