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[コメント] アメリ(2001/仏)

 よくできた世界だとは思う。でも中途半端に現実が入っていると、私はそこに共感を求めてしまう。私と彼女の距離は縮まらなかった。この世界には入りたくなかった。
にくじゃが

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 たまにこっちを向いて「どうよ?」って顔をする女には、まあ意見を求めているのかもしれないということで(誉めて欲しいだけかもしれないけれども、そういうとき、それを叩きつぶしてやりたい気持ちに駆られることがある)、きちんと自分の考えを言うのが親切というものでしょうと思い、勝手に意見を述べさせていただく。

 アメリのどこにいちばん共感できないかというと、世界をすべて「好きなもの・嫌いなもの」で片づけている点。冒頭の、お父さんお母さんアメリカフェの人々の好きなもの・嫌いなものの列挙でなんかちょっとなあと思い、入り込めなかった。(あれってアメリの好き嫌い以外は彼女が「この人はこんなものが好きだろう」と考えたものだろうと思ってた。)

 私にとって世界は「好きなもの・嫌いなもの・巨大な、なんだかよくわからんもの」でできているのです。だからよくわからないことをそれがなんのか突き止めたいと思うし、それには危険や恐怖がつきまとうけれども、世界が少し広がるかもしれないとわくわくしたり、少しずつ見つかるいろいろな断片をつなぎ合わせいろいろと想像したりして楽しんだりもするのです。

 アメリの「想像力」はそういう未知のことにあまり向けられていない。彼女の想像力は陰険な遊びで人を懲らしめたり、今そこにいる地点からまったく動かずに世界を理解しようとするために使われているように見える(冒頭の人々の好き嫌い列挙やスピード写真の男に対する想像というか妄想のところとか)。 これじゃあ彼女に共感できない。彼女は彼女の箱庭にいるすべてのものを距離をとって見つめて位置づけるだけ。私は彼女のそばにも寄れない。

 そんなふうに私にとって共感できない人物だから、この物語を通して何か少し変化が訪れて欲しかった。アメリが、偶然未知のものに「接した」とき、小箱事件やスピード写真の男の正体が分かったとき、何かが彼女のうちにきらめいて欲しかった(なんか違うものがきらめいたようではあった)。

 アメリが彼女の箱庭を見つめて満足しているだけなら(ちょっと淋しいが)まだましだった。ただ、箱庭の中の人形を動かすように、人の生活に無理矢理ちょっかい出すという形で世界に接しようとする姿勢はどうかと思う。はじめの思い出の小箱事件は偶然から生まれた。これをきっかけに人と接することを覚えるかと思いきや、満足感を得るために偶然を捏造しようとするとはね。手の込んだ作戦には感心するも、これ仕組まれた側は嫌じゃないのかなあ。私は嫌だ。

 偶然出会った未知のもの(というか変なものみたいだった)であるあの男、恋人というようなまさに「接する」対象の男に対しても、アメリは結局部屋から出ていかなかった。いったんアメリとドア越しに接して離れていったのかと思った。アメリは彼に付いていきその箱庭から出ていくのかと思った。でも、男の方から彼女の箱庭に入っていった。彼女はまったく変わらず、自分を変えようとしなくても何とかなってしまった。なんか都合が良すぎて面白くないよ。

 でも、アメリの箱庭はいろいろとほころびが見え始めていた。未知なるものがいろいろ進入したり、黄色く変色していたり(明るい日差しにはあまり見えませんでした)、人形たちがいろいろ勝手に動いたりしていた。アメリは23才のいい大人と言っていい年。ラストは2ケツでどっかを走っていたようだった。 

 もしかしたら、これから彼女は変わるのかもしれない。でも私が見たかったのはその過程なわけで、その部分は勝手に想像してくださいよと言われてもねえ。

 最後まで、私とアメリの距離はまったく縮まらなかった。彼女が私に出会ったらどうするだろう。あれやこれやと決めつけて、ちょっかい出したり懲罰を加えたりするのだろうか? 

 なんかやだなあ。知り合った人にそうやって支配されるのは。

(評価:★3)

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