黒澤映画ってもっと芸術じみているかと思ってたんですが、何より「面白い」。しかもそれが荒々しい面白さで、ぼーっとしてる隙に首根っこ掴まれて映画の中に引きずり込まれます。

僕が生まれる遥か前に、既に語り尽くされていると思われるこの映画。今さら語られていないことを探すのも無理だろうと開き直って、一つ感じたことを。

侍達のうち死んでしまう4人、全員種子島で撃たれて殺されるんですよね。これだけの大作時代劇、殺陣の中で鮮やかに死んだ方が絵的にもキレイなのに。ふと思ったのが、ひょっとして「侍を殺せるのは銃だけだった」ってことなのかなと。考えてみれば時は戦国、火縄銃の伝来で戦の仕方が大きく変わっていった時代です。1対1が原則の戦いから、数対数、後ろからでも何でも殺した方が勝ちの戦いへ。つまりは「武士道の死」へ急速に向かっていった時代。

その時代に負け組として飯も食えなかった侍たちは、正に「武士道の体現者」であり、その「武士道」を倒すべきものはやはりここでも「銃」だった、なんてこともあるんじゃないかなと。そんな時代に取り残された者の悲哀を感じながら観ていました。

武士道＝滅びの美学。ハマるわけだ。