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[コメント] ミル・マスカラスの幻の美女とチャンピオン(1970/メキシコ)

全編ユルユルのメキシコプロレス版東映ヒーロー戦隊映画。「千の顔を持つ男」の名にふさわしく、登場シーンごとにマスクが変わっているマスカラスが最高に素敵です。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「メキシコのルチャ・リブレ(メキシコ版プロレス)映画なんてタルくて当たり前。マスカラスが出ているだけで幸せ」という僕の覚悟を吹き飛ばして余りあるほどに、「ここはこんなに長くなくていいんじゃないか?」「ていうかそもそもこれ必要か?」というシーンが次々登場します。81分なのにドエラく長い。

オープニングの正義の戦士団がバイクで登場するシーンもやたら長いし、その後の試合シーンも長い。「巻き投げ→巻き投げ→観客のアップ→タッチ→巻き投げ→巻き投げ→観客のアップ→タッチ→巻き投げ→巻き投げ→観客のアップ→タッチ→巻き投げ」みたいなもう巻き投げはいいから話進めてくれよって展開がズルズルと続きます。まぁ1970年と言えば日本でも新日本や全日本ができる前。メキシコルチャ界もこんな感じだったんでしょう。それにしてもマットが異様に硬そうだ。さすがルチャ・リブレ。

そして登場するのは悪の小人軍団。演じるのはもちろん本物の小人レスラーの方々。あぁ…うん…そりゃそうよね…うん…。

彼らを強くする謎の装置(小型の釣り鐘が降りてきて、小人レスラーが入ると非常ベルが鳴ってボムッと煙が出る)のシーンも、4人を強くするところまで延々と繰り返してくれます。誰もが「これいつまで続くんだろう」と思える名シーンです。「正義の戦士団との戦いをカメラ越しに見入るマノ・ネグラに、小人が三角フラスコからジュースを注いで渡すシーン」とかもホント全然要らない。

マノ・ネグラが捕えたソンブラに「チャンスをやろう」とか言って黒人レスラーと戦わせるシーンもスゴかった。ソンブラのヘッドロックから机に頭を叩き付けられ黒人レスラー死亡。とマノ・ネグラがいきなりソンブラに謎の注射を打って「これで言いなりになる。ふふふ」みたいなことを言い出す。じゃあ黒人レスラーは何のために死んだのか。はなから注射打てば良かったんじゃないのか。またこの「悪のアジト」のシーンで必ずバックに緊張感ゼロのおしゃれジャズが流れてるのも堪りません。

とまぁこれがメキシカンのセンスなのか時代のせいなのか監督の腕の問題なのか判らないんですが、当時のメキシコの方々が、たまの休日の娯楽としてこれに足を運んでいたというのは、何だか幸せな匂いのする話だなぁと思います。ルチャ・リブレとは「自由への戦い」の意。映画だって自由でいいじゃないか。マスカラスの虎柄のマスク超カッコいい。

(評価:★3)

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