[コメント] ナイト&デイ(2010/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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僕はもういい歳なのでもう一回言うよ。こういう人生を暮らしたい。ヨーロッパの美しい街並みや上品な列車、南国の綺麗な海や美味しい魚、そんなものをつまみ食いしながらたまにハラハラドキドキしたりカッコ良かったりして、ヒマがあったらチュウとかして過ごすんだ。問題は僕がトム・クルーズになりたいのかキャメロン・ディアスになりたいのかよく判らないってことだ。
今作は結局突き詰めるとそういう映画で、「何故だかお馴染みのトム」と「何故だかお馴染みのキャメロン」が、「何故だかお馴染みのストーリー」に沿って観客をウハウハさせ続ける。端的に表すとこれは「素敵」ってヤツだ。この映画は21世紀に突如現れた「80点満点中80点の素敵ムービー」だ。素敵だ。
オープニングの飛行機内、敵に殺戮の限りを尽くすトムと、それを知らずにトイレで胸を寄せて上げるキャメロン。この下らなさに伴う安心感たるや無い。物語はこのキャメロンの下らなさに引っ張られて僕らの心を惹きつけ続ける。ここで言うキャメロンの下らなさとは、=キャメロンのチャームだ。もうねぇ、キャメロン超可愛いよキャメロン。昨今は歳を経ったと言われることの方が多い彼女だけれど、この使い古された物語をゴキゲンなアクションコメディに仕立て上げてしまうだけのチャームを未だに有していることには驚くしかない。
そしてトムだ。前述の通り、トムはトムであらん限りのお馴染み感をして、僕らから羨望の眼差しを奪い取る。このトムのお馴染み感は、演技派として一皮剥ける前のトムが持つそれだ。「空っぽでカッコいい」とでも言うべき、ドラマ性をほぼ排除した完全無欠のにこやかクールガイ。トムもまたここへ来て尚この勝負が打てることを大きく宣言しに掛かっている。
空っぽのトムの中に、溢れんばかりのキャメロンのチャームを注ぎこむ。そして世界中を旅しながらキャッキャウフフの銃撃戦だ。水着がどうのセックスがどうのと下ネタも欠かさない。この2人が持つ天賦の才を舐めてかかっちゃダメだ。ことここに及ぶと、そりゃ僕だってキャメロンを守りたいとしか思えなくなるよ。そして同時にキャメロンになってトムに守られたいと思うよ。人間の尊厳や善悪の線引、愛の重さや戦争の愚かさ、そんなものを描く映画もいいし、何より大切だ。だけど僕はそういう映画をきちんと観てきちんと消化して、その上でこんな映画だけ観て暮らしたい。もちろんカウチの隣ではキャメロンがポテトチップを食べているんだ。カウチポテトだ。クッションの下には銃が忍ばせてあるのだよ。
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