コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 獄門島(1977/日)

シリーズ3作目にして、物語を紡ぐことに少し注力し始めたように思う。それにしても佐分利信はいつも佐分利信だ。あれは和尚じゃなくて佐分利信だ。
Myurakz

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 金田一が早苗(大原麗子)に「探偵なんです」と素性を明かすところで、それまで観客も抱えていた「何故金田一がここにいるんだろう」という疑問が一気に解け、同時に「そうだよ、彼はスゴい探偵なんだよ」という妙な自意識が首をもたげる。そこまで不安気に進んでいた物語がここで一気にゴールを見定め、観ている我々もその勢いに押し負けてあっという間に引きずり込まれる。大した意味もないような「溜め」に、すっかりしてやられました。

 実際シリーズの過去2作(『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』)と比べると、市川昆独特の映像表現はかなり形を潜めており、多少謎解きを楽しませようという撮り方にシフトしているような気がします。釣り鐘だの猫の鈴だの、トリックも今までで一番「推理物っぽい」。ただ反面、あのようなトリックが物語全体のオカルト色を弱めてしまうのもまた事実ではあるんですよね。釣り鐘の謎解きとかって、やっぱりゴシックな香り漂うシリーズの中ではちょっと安い感じがするし。あ、でも「復員詐欺」の伏線は良かった。正直読める伏線なんですけど、最初で笑わせて最後でひっくり返すっていうその「配置の美しさ」がスゴく効果的に感じました。

 というわけで、前2作とはちょっと異なった印象の作品だったのですが、まぁやっぱりそれはそれで面白かったなぁと。そもそもちょっとおかしいくらいの豪華キャストですしね。中でも犯人でもないくせに異様なオーラを放ち続けていた太地喜和子ピーターコンビ。ホントにあんな二人がいたら、別件でも構わないので逮捕しておいた方がいいと思います。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (10 人)ペンクロフ[*] ペペロンチーノ[*] づん[*] sawa:38[*] 3WA.C[*] おーい粗茶[*] トシ[*] ぽんしゅう[*] 直人[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。