もしかしたら、1、2作目が評価されたことで、監督の自由度がドンドン上がっていっちゃったのかも知れませんね。どんな優れた才能でも、自由自在に動けるようになると振り落とされる人が出てくる。そして今回僕は落っこちる側だったってことなのかな。もうねぇ、「怪獣の存在が内包する問題」も「信仰に繋がるオカルト的な怪獣論」も「イリスの造形」も「狭苦しい駅内部での戦い」も「一人秘密を知る 山咲千里」も全部「やりすぎ」。何か真綿で首を絞められてる感じがします。もっとこうがーっ！と、わーっ！と、でぃやーっ！とやって欲しいわけですよ。鬱々ちまちまと面倒臭い。

　それに正直、渋谷のシーンですでにキツかったんです。いや、見知った街中で怪獣が暴れるのはすごく楽しいんですよ。だけどあのシーンは「渋谷で暴れる怪獣を見せる」ことが目的ではなく、「正義の怪獣の影で死ぬ人々を見せる」ことが目的でしょう。その「意図」が既にキツかった。この歳になると、娯楽映画の中で罪なき人が死ぬシーンって単純に凹むんですよ。「この人らにだって、家で待ってる家族もいるんだろうに」とか思っちゃって。いや、フィクションだからそんな家族いないんだけどね。

　テーマは好きなんだけどなぁ。何だかもう1回『ガメラ２　レギオン襲来』が観たくなる映画でした。