[コメント] 死ぬまでにしたい10のこと(2003/カナダ=スペイン)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
一瞬だけど、「寒さに震えている子どもたちの気持ちが想像できる?」と言われた看護婦さんのシーンが良かった。「できるわ」と。 この看護婦さんの回想シーンは、この看護婦さんの子ども時代に実際にあったことなのか、それとも言われた通り想像してみただけなのか分からないけれど、いずれにしろ患者の心の訴えをきちんと考えてくれるということがいいなあと思った。
それからお医者さんが良かった。 余命を告知されるならこんな医者さんがいい。ラストのお医者さんが自分のオフィスの棚にカセットテープを並べているシーンを見て、この先生なら娘達の誕生日ごとにきちんとテープを渡してくれるのだろうとほっとした。
隣に越しててきたアンにしても、担当していた子どもの死を心から悲しんでいて、そういう看護婦さんがいる、いて欲しいという医療への理想像みたいなものが描かれていたような気がする。
誰に対しても誠実で温かい。これは文字で書くと陳腐かもしれないけれど、最も尊いことなのかもしれないと思った。
主役のサラ・ポリーはNHKで放送していた「アヴォンリーへの道」というプリンスエドワード島を舞台にしたドラマに主演で出ていた時から注目していた。今回サラの映画を映画館で見たのは初めてだったので、あの小さかったセーラ(ドラマでの役名)が・・・と複雑な気持ちになりました。(『写真家の女たち』もビデオで見たけれどその時はこれほどは思わなかった)彼女自身も幼い頃に母親をなくして、脚本を読んだとき、当時の辛い体験を母の立場から考えてみたいと思ったそうです。そして子どもを残していく母の方が辛かったに違いないと思い至ったそうです。
2003/11/03 追記
このレビューを書いて数日経った時、ふとアンは家族を心から愛しているけれど、少しばかり人生に疲れていたんじゃないだろうかと思った。それは貧しさからであり、本人は気づいてない病気が原因であったのかもしれない。そして死の宣告はアンを楽にしてくれる部分もあったのではないだろうか。もちろん、愛する子どもを残して死にたくはないけれど、どうせなら自分が死ぬことによって周りの人間が前向きに生きられるようなキッカケを残してゆきたい、そう思ったのではないだろうか。
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