[コメント] ソードフィッシュ(2001/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ミスディレクションだかマシンガンショット撮影だかしらないが、本質を見据えて作らないと観客の心に届かないのだ。
まずハルの人格。あまりにも極端に無意味に態度(もしくは人格)を豹変させる演技はプンプン臭う。中盤まできての内偵の独白も序盤の行動を裏付けるものではないので、なんか変だぞこの女!と怪しげにみてしまう。
さらに射殺シーン。意味ありげに登場し、過剰な演技で含みをもたせ、おっぱいまでさらしてあの時点で死ぬはずがない。いや、死んでも構わないが、そうなるとそこまでに描いたハルのキャラと意味のもたせかたがまったくの無意味になるので、プロット自体に無理が生じる。セガールがドカンと散った某映画の二番煎じか…とがっくりくることになる。
トラボルタの死について。
グレネード・ランチャーを伏線として登場させるが、ものすごい無理やりな出し方になっている。その時点で「ハイこれ伏線!で、後はいつ使うかだな?」と冷ややかな受け止め方になってしまう。
そしてヒューが逃亡を図るトラボルタにランチャーを使って爆殺。殺意の根拠も微妙だが、なんとなく「勇気を出して正義感をもった男ががんばる!」てな感じでランチャー使用。一発で命中。ヘリは爆発。
そんなわけないだろ!今時そんな中途半端でド単純な死に方をエンディングにもってくるかい?てことで何かあるな?という臭いがプンプン。
いい演出家ならヒューがグレネード・ランチャーを使う能力があることをさりげなく伏線に入れたり、トラボルタに殺意を持つに至った心理とかを丁寧に描くよ。
そうやって巧みに我々観客を騙してくれる。別に斜に構えて批判ネタを探しながら映画を観ている訳じゃない。もっとどっぷりとしっかりと騙されたいだけ。結局騙されたくて映画を観ているわけだから…
導入の特殊撮影だって、あのシーンって爆発の凄さとトラボルタが「本当にヤル男なんだ」ってことを印象づける為のシーンなのに、映像表現が凄すぎて、そこに映る「意味」を見逃しちゃう。せっかくの映像技術なんだから映画の中で「生きる」使い方をしてほしい所。
ドミニク監督には是非わかって欲しい。
現代の観客は巧みな結婚詐欺に20回ほどひっかかった被害者が懲りずに結婚に憧れているようなもの。「幼稚」で「強引なだけ」の演出では「その手にはのらないよ!」と見透かしてしまうのだ。
スティングをあと100回観てからもう一度チャレンジしてくだされ!
※トラボルタの正体については、はっきりいってよくわからない。元モサドの情報員の死体を利用したトリックなんだろうが、最後にヒューにグレネードを撃たせるところもで読みきっている「大した男」があんなわかりやすい場所に大事な死体を置いておくってのもなんなんだかなぁ…。
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