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[コメント] ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001/日)

ウソクセー
悪趣味大魔王

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







…と思いながらも最後まで見せられてしまった。でもどこか他人事、絵空事のような感触はぬぐいされなかった。いや、映画だし。しかも怪獣映画だから他人事で絵空事に違いないんだが…いるはずのない怪獣に存在感を与えられていたかというとちょっと疑問だ。だいたいゴジラ・モスラ・キングギドラなんて、ある意味日本人にとっては「いるに決まってる」怪獣なんだから、存在意義を殊更に強調する必要があったのか?いや、怪獣の存在感とかじゃない。現にゴジラは、一瞬着ぐるみであることを忘れさせられる好演出が何度もあった。バラゴンがやられるところも、感情移入して観ることができた。じゃあなぜ?

ゴジラが原水爆の申し子、太平洋戦争で犠牲になった人々の魂が宿った怪獣であることは、奇妙な老学者から解説されるのではなく、映像や芝居で説得力をもたせられなかったのか。物語の根底をなす設定がとってもご都合主義で、「たまたま」防衛軍に護国聖獣の本を読んだ事のある隊員がいても、せいぜい怪獣のネーミングくらいにしか役立たないなんてのはまったく時間の無駄だ。そういう意味では清水港でのシーンで、第五福竜丸のポスターが一瞬映されたのが絶妙ではあったが、そのレベルでの説得力は他のシーンではほとんど感じられなかった。なぜ護国聖獣の存在を感知できたのが新山千春だったのか、「ただなんとなくそう感じた」んじゃなくて必然性のある説明はつけられなかったのか。別に「たまたま神像のかけらを拾っちゃったから」でもなんでもいいのだ。「ガメラ」の藤谷文子の時も思ったけどこれほどじゃなかったぞ。要するに細かいディテールにこだわる割には肝心なところの詰めが甘い。ほんの1シーン、一言のセリフで済んだのに、と思ってしまうのだ。

その他モスラの羽ばたきによる突風が起こり新山千春がよろめいても自転車は倒れない、とか(笑)いろいろつっこみどころは満載(笑) ただしゴジラ、モスラ、キングギドラの造型はさすが秀逸であった。 新山千春は登場時のセリフの拙さを見て「おいおい、だいじょうぶかよ」と思ったが、その後の成長ぶりは特筆もの。セットやロケの都合でシーンの撮りだめをしているであろう映画で、明らかに序盤よりもクライマックスで、人間的にも成長しているヒロインなんてすごいと思う。

(評価:★3)

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