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[コメント] フラガール(2006/日)

ダンスや方言の練習に入れ込んだ役者陣に象徴されるが、映画制作に対する本気度がこちらにも伝わる、パワーのある映画だ。脚本、撮影、美術、音楽と、スタッフも磐石の状態だ。(2006.10.29.)
Keita

 なんでこんなにまで評判が良いのだろうか、と疑問に思っていたのだが、観てみれば納得。どの層にもしかっりとアピールする、正攻法かつ的確な演出がされている見事な娯楽作だった。同じ時期にもう一本ダンスの映画が公開されていたので、それと間違えそうになっていたのが、大変申し訳なく感じられた。

 蒼井優をはじめ、役者が魅力を放っているのは言わずもがなだが、スタッフも見事な仕事をしているのがやはり見逃せない。

山本英夫の撮影と、種田陽平の美術。これが世界観を作り上げる上で大きな役割を果たしていた。

炭鉱住宅を再現した美術も作りこまれていたことに加え、時代の味わいを感じさせる映像によって、映画が始まった瞬間から、「この映画はちゃんとしているぞ」ということを感じさせてくれた。テレビドラマの延長線上で作られたドラマでは、映像にこの映画のような色合いは出ないだろう。

ジェイク・シマブクロによる音楽も適材適所であったし、キャスト、スタッフにとにかく隙が感じられない。ダンスの質や方言にもそれが現れるが、本気度がしっかりと伝わってくるのが良い。それによって、無意識に映画自体をひいきしたくさせるのだ。そういったパワーを持った映画なのである。

 そして、これは常磐ハワイアンセンターという、日本の地方都市を舞台にした、日本ならではの映画。『フル・モンティ』や『リトル・ダンサー』にも通じる内容であるが、それら外国映画との一番の違いは、これが日本でないと作れない日本映画だということである。

アカデミー賞日本代表に選ばれた理由も、映画を観た後では大いに理解できる。外国人にはこの映画は、ウェルメイドな普遍的感動物語と捉えられると同時に、日本の地方都市と昭和という時代を感じられる、発見のある映画とも捉えられるであろう。

(評価:★4)

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