[コメント] フラガール(2006/日)
なんでこんなにまで評判が良いのだろうか、と疑問に思っていたのだが、観てみれば納得。どの層にもしかっりとアピールする、正攻法かつ的確な演出がされている見事な娯楽作だった。同じ時期にもう一本ダンスの映画が公開されていたので、それと間違えそうになっていたのが、大変申し訳なく感じられた。
蒼井優をはじめ、役者が魅力を放っているのは言わずもがなだが、スタッフも見事な仕事をしているのがやはり見逃せない。
山本英夫の撮影と、種田陽平の美術。これが世界観を作り上げる上で大きな役割を果たしていた。
炭鉱住宅を再現した美術も作りこまれていたことに加え、時代の味わいを感じさせる映像によって、映画が始まった瞬間から、「この映画はちゃんとしているぞ」ということを感じさせてくれた。テレビドラマの延長線上で作られたドラマでは、映像にこの映画のような色合いは出ないだろう。
ジェイク・シマブクロによる音楽も適材適所であったし、キャスト、スタッフにとにかく隙が感じられない。ダンスの質や方言にもそれが現れるが、本気度がしっかりと伝わってくるのが良い。それによって、無意識に映画自体をひいきしたくさせるのだ。そういったパワーを持った映画なのである。
そして、これは常磐ハワイアンセンターという、日本の地方都市を舞台にした、日本ならではの映画。『フル・モンティ』や『リトル・ダンサー』にも通じる内容であるが、それら外国映画との一番の違いは、これが日本でないと作れない日本映画だということである。
アカデミー賞日本代表に選ばれた理由も、映画を観た後では大いに理解できる。外国人にはこの映画は、ウェルメイドな普遍的感動物語と捉えられると同時に、日本の地方都市と昭和という時代を感じられる、発見のある映画とも捉えられるであろう。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (11 人) | [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。