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[コメント] アイアンマン(2008/米)

直球派B級アクション映画が、逆に新しく見えるとは発見だ。CG映像に加え、若手女優がやるような目立たないヒロインをあえてグウィネス・パルトロウが演じていることに拍手!(2008.10.14.)
Keita

**ネタバレ注意**
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CG技術が発達してくると、大作娯楽映画のアクションシーンのレベルは一定レベル以下にはもはや下がらないのだろう、とここ数年思い始めてた。大規模になればなるほどアクションで楽しませてくれる可能性が高まるので、そのぶん本当に外してしまった感のある映画は減っている気もしているのだ。

アイアンマン』はここ最近では珍しい超正当派のB級アクション大作だ。だが、これがCG技術が未発達な状態で映画になり、同じキャストの顔ぶれが揃ってなかったら、B級駄作になったであろう。

アクションシーンの映像は、善悪それぞれのアイアンマンという金属と金属のぶつかり合いはまるでプロレスかのような超迫力だし、戦闘機との高速チェイスのスピード感も疾走感抜群だ。天才科学者がとことん追求して開発したマシンが、縦横無尽に動き回っている様を観るのは不思議と楽しい。だが、これを少しでも「ポンコツが動いている」と思わせてしまうと一気に興ざめしてしまったはずで、それだからこそCG映像の力が重要なのである。

キャストについては、脇を固める名優たちの効果が抜群なのだ。テレンス・ハワード演じる軍人の友人は、正義感の強い厳格そうな男だが、柔軟な対応をしてくれる上に茶目っ気もある。正義感とユーモアのバランス、テレンス・ハワードだとどちらもうまくやってくれる。

そして、グウィネス・パルトロウ演じる部下の女性。最初はなんでグウィネスがこんな駆け出しの若手女優が演じるような役を受けたのだろうと疑問に思ったのだが、そんな役をわざわざ演じてしまうことで、ただの美人ではない絶妙なニュアンスが加わってきた。終盤になってくると、陰で支える目立たないこのヒロインが、グウィネス以外だとかなりチャチな映画になっただろうなとまで思えてきた。

映像のパワーや、名優たちのうまさを借りながら、この悩まないヒーロー“アイアンマン”は、実にわかりやすいアクション映画に仕上がった。

バットマンやスパイダーマンとは違って、素顔をさらすことに躊躇をせずに結末を迎えるが、その潔さがこの映画の一番の売り。悩みを抱えることで素晴らしいドラマが生まれてきた近年のアメコミ映画だが(『スーパーマン・リターンズ』や『ダークナイト』はその賜物)、あえて悩ませないで人間ドラマを展開させない切り口、これが逆に新しかった。

(評価:★4)

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