コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ワールド・オブ・ライズ(2008/米)

ディカプリオの力強さは評する。だが、この映画はもっと攻めるべきだ。熱い汁がじわじわ滲み出るような本気度がほしい。(2009.01.18.)
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







硬派で見応えがある映画。出来は悪くない。でも、リドリー・スコットならではの臨場感あるアクション演出と、レオナルド・ディカプリオの力強い演技がすべてであって、内容面ではもっともっと面白くなったはず。

手堅くまとめてしまっている印象が残って、そこにどうしても不安を覚えてしまう。同じくディカプリオ主演の『ブラッド・ダイアモンド』もそんな映画だった。監督がエドワード・ズウィックではなくリドリー・スコットなのだから、こういった鋭い視点を持つ題材ではもっと攻めてほしいのだ。『ブラックホーク・ダウン』では2時間攻め続けていたのに…。

中東情勢を背景に“嘘”を描いていくなら、もう一歩巧みな脚本がほしかったのが正直なところ。CIAが過激派によるテロの首謀者を追求するために、偽のテロをでっち上げる設定は、これが現実に行われているのだとしたら本当に恐ろしいと感じるほどのもの。

技術的進歩によりもはや何でもアリの状態で近代の戦争は展開されていて、それによって一般人の命ひとつが軽くなってしまったような気がするのだ。誰もが願う平和への道が、どんどん歪んできているのではないか。

そういった複雑な情勢をより脚本に反映させ、さらなる緊張感を生み出してほしかった。そして、その緊迫した状況が、ディカプリオとラッセル・クロウという“現場で動く男”と“遠くで指揮をする男”という対比から、人間ドラマとしても深めていってほしかった。「命懸けてるんだぜ、俺たちは!」といった気迫がいまひとつ画面に宿っていなかった。それは特にラッセル・クロウ側に言えるのだが、キャラクター性とはいえ、あまりに言動が軽すぎる。もっと熱い男を見たかった!

結局、ディカプリオの目力以外の部分で、「熱さ」を感じられなかったこと。それが残念なのです。リアル系のアクション大作として手堅く仕上がっているが、僕が観たかったのは、何よりも男たちの熱いドラマだったのだ。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。